国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。
事案の概要
父子世帯の父親である原告は、自身が所得税法上の「寡夫」に該当することを前提に、寡夫控除を適用し、平成24~26年分の所得税等の各確定申告をしたところ、税務署長から、いずれの年分についても、合計所得金額が500万円以下という寡夫控除の所得要件を満たさないから、寡夫控除の適用は認められないとして、本件各更正処分及びこれらに伴う過少申告加算税の各賦課決定処分を受けた。また、原告は、寡夫控除を適用せずに行った平成27~29年分の所得税等の各確定申告について、寡夫控除を適用すべきであるとしてそれぞれ更正の請求をしたところ、税務署長から、更正をすべき理由がない旨の各通知処分を受けた。
本件は、原告が、被告を相手に、本件規定が所得税法2条1項30号イの「寡婦」にはない所得要件を設けていることが性別による差別として憲法14条1項に違反しており、本件規定のうち所得要件に係る部分は無効であるから、本件所得要件を満たさない原告にも寡夫控除を適用すべきであると主張して、本件各更正処分のうち申告額を超える部分及び本件各賦課決定処分並びに本件各通知処分の取消しを求めた事案。
基本情報
・税目:所得税
・処分行政庁:川崎北税務署長
・課税年度:平成24年~29年分
・提訴裁判所:東京地方裁判所
・提訴年月日:令和元年5月8日
・判決日:令和3年5月27日
・結果:棄却
争点
・所得税法2条1項31号のうち、30号イの寡婦にはない所得要件を寡夫について定める部分が、憲法14条1項に違反し無効であるか
・国税通則法65条4項の「正当な理由」の有無