個人の確定申告の計算の際、外貨建取引がある場合は、その取引金額を外貨から邦貨に換算した上で計算する必要があります。今回は、その換算のルールについて解説します。
TTS・TTB・TTMとは?
換算のルールを説明する前に、換算の際には「TTS」、「TTB」、「TTM」の3つのレートが出てきますので最初にこれについて説明します。
TTSとは「Telegraphic Transfer Selling rate」の略で、金融機関が顧客に外貨を売るレート(顧客が円貨を外貨に交換するときのレート)、TTBは「Telegraphic Transfer Buying rate」で金融機関が顧客から外貨を買うレート(顧客が外貨を円貨に交換するときのレート)のことを言います。そして、TTSとTTBの仲値をTTM(Telegraphic Transfer Middle rate)といい、外国為替の基準レートとなります。
金融機関は平日の午前9:55のスポットレートを基準に、それぞれ独自のTTMを決定し、それをもとにTTS(仲値+手数料)とTTB(仲値-手数料)を決定しています。TTMが1ドル=100円とすると、TTBは1ドル=99円、TTSは1ドル=101円となり、TTMとの差額である1円は為替手数料になります。
原則はTTMで換算
個人の外貨建取引の換算は、取引日のTTMで換算するのが原則となっています。
ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得に係る外貨建取引の換算については、継続適用を条件として、売上についてはTTB、仕入や経費についてはTTSによることも可能となっています(さらに、平均相場や取引が発生した日の直近の一定の日の為替レートが使用できる例外もあります。)。
また、株式の譲渡についても、譲渡価額はTTB、取得価額はTTSで換算することになっています。
なお、使用するTTS、TTB、TTMについては、原則として主たる取引金融機関のものにになりますが、合理的なものを継続して使用している場合にはそれでもOKということになっています。
為替レートがない、又は2以上ある場合
土日に外貨建取引をした場合、為替市場が開いていないため通常であればレートがありません。その場合いつの日の為替レートを使うのかというと、取引日前の最も近い日のレートを使います。
また、為替レートが2以上ある場合には、取引発生時か最終のレートで換算します。
Excelの換算シート公開中
Excelで為替レートの換算を効率的行えるように、Excelで換算シートを作成しました(為替データのソースは、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社のHPに掲載されているエクセルファイルのデータになります。)。「USD」「EUR」「CAD」「GBP」「CHF」「AUD」「NZD」「HKD」「CNY」「KRW」の1990年1月4日以降の換算が可能です。確定申告の際などにご利用ください(データは年1回更新する予定です)。
※使用の際にはマクロを有効化して使用してください。ダウンロードしたファイルを開いて下記の警告が表示された場合、解決方法としてマイクロソフトのサイトを参照してください。