【所得税】大阪地裁令和3年11月26日判決

判決イメージ 判決書(所得税)

国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。

事案の概要

原告の父の相続人である原告が、税務署長から、令和元年12月25日付けで、①平成28年分の所得税等の申告において、父から相続により取得した本件株式に係る配当について同年分の配当所得として申告するべきであるにもかかわらず、配当所得の金額に含めずに申告したなどとして、同年分の所得税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受け、②平成29年分の所得税等の申告において、父から相続により取得した有価証券の譲渡に係る譲渡所得に関し、租税特別措置法39条1項に規定する取得費の金額のうち譲渡した資産に対応する部分として加算する相続税額の計算について、租税特別措置法39条8項及び同法施行令25条の16第1項の適用をしていないなどとして、平成29年分の所得税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を受け、③原告が提出した財産債務調書に、本件株式や上記譲渡の対象である有価証券の記載がなかったとして、内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律6条の3第2項を適用して加算した金額の過少申告税を課する旨の本件各賦課決定処分を受けたことから、それらは違法であるとして、本件各処分の取消しを求めた事案。

基本情報

・税目:所得税
・処分行政庁:伏見税務署長
・課税年度:平成28~29年
・提訴裁判所:大阪地方裁判所
・提訴年月日:令和2年10月12日
・判決日:令和3年11月26日
・結果:棄却

争点

・平成28年分更正処分について、本件配当所得は、所得税法9条1項16号に該当し、本件配当所得に所得税を課することは許されないといえるか
・平成29年分更正処分について、措置法。39条8項が「譲渡をした資産ごとに計算するものとする」とするところ、どのような資産ごとに計算するのか。
・平成29年分更正処分に係る通知書において、相続税取得費加算額の計算について、行政手続法14条1項本文所定の理由の提示があったといえるか。
・本件各賦課決定処分について、遺産分割協議が成立していない相続財産を、本件財産債務調書に記載していない場合、国送法6条の3第2項を適用することができるか。
・本件各賦課決定処分について、本件財産債務調書における〇〇の株式の記載をもって、未分割の遺産である同株式会社の株式の記載とみることができるか。

判決書データ

大阪地裁令和3年11月26日判決