令和7年9月26日裁決・東裁(諸)令7-30

裁決書

国税不服審判所に情報公開請求をし、表題の裁決書を入手してみました。

事案の概要

本件は、ポイントサイトを運営する請求人が、ユーザーに付与したポイントの価値相当額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたことから、請求人が、その全部の取消しを求めた事案である。

基本情報

・裁決番号:東裁(諸)令7第30号
・税目:消費税
・管轄:東京国税不服審判所
・裁決日:令和7年9月26日
・結果:棄却

争点

本件課税期間において、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か。

裁決書データ

令和7年9月26日裁決・東裁(諸)令7-30

裁決書テキスト

※以下は生成AIでテキスト化したものです。

主   文

審査請求を棄却する。

理   由

1 事実

(1) 事案の概要

本件は、ポイントサイトを運営する審査請求人(以下「請求人」という。)が、ユーザーに付与したポイントの価値相当額は課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとして更正の請求をしたところ、原処分庁が、更正をすべき理由がない旨の通知処分をしたことから、請求人が、その全部の取消しを求めた事案である。

(2) 関係法令

イ 消費税法(平成24年法律第68号第3条の規定による改正前のもの。以下同じ。)第2条《定義》第1項第8号は、資産の譲渡等とは、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供をいう旨、同項第9号は、課税資産の譲渡等とは、資産の譲渡等のうち、同法第6条《非課税》第1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう旨、同法第2条第1項第12号は、課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるものに限る。)をいう旨それぞれ規定している。

ロ 消費税法第30条《仕入れに係る消費税額の控除》第1項は、事業者が、国内において行う課税仕入れについては、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から、当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額(当該課税仕入れに係る支払対価の額に108分の6.3を乗じて算出した金額をいう。)を控除する旨規定している。

また、消費税法第30条第6項は、同条第1項に規定する課税仕入れに係る支払対価の額とは、課税仕入れの対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、当該課税仕入れに係る資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該課税仕入れに係る役務を提供する事業者に課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額がある場合には、当該相当する額を含む。)をいう旨規定している。

(3) 基礎事実

当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

イ 請求人は、インターネットでの広告事業等を目的とする法人である。

ロ 請求人は、インターネット上のウェブサイトであるポイントサイト「■」(以下「本件サイト」という。)において、広告主等(以下「本件発注主」という。)からの依頼等に基づいて広告等を掲載し、広告料その他の収入を得ている。また、請求人は、本件サイトのユーザー登録をした個人(以下「本件ユーザー」という。)に対して、本件ユーザーが次の(イ)ないし(■)のいずれかの行為を行って所定の条件を満たした場合に、現金や電子マネー等に交換可能な■ポイント(以下「本件ポイント」という。)を付与するなどのサービスを提供している(以下、請求人が本件サイトにおいて本件ユーザーに対して行うサービスを「本件サービス」という。)。

(イ) 本件ユーザーが、本件サイト上に掲載されている広告を経由して本件発注主のサービスを利用するなどしたこと(以下「本件アフィリエイト」という。)。

(ロ) 本件ユーザーが、本件発注主の商品等のモニターとして本件サイト上でアンケートに回答するなどしたこと(以下「本件モニタリング」という。)。

(ハ) 本件ユーザーが、本件サイト上に掲載されている無料コンテンツを利用して、次の行為をしたこと(以下「本件コンテンツ利用」といい、本件アフィリエイト及び本件モニタリングと併せて「本件アクション」という。)。

A ゲームへの参加(以下「本件ゲーム参加」という。)

B アンケートへの回答(以下「本件アンケート回答」という。)

C データ入力等の軽作業(以下「本件軽作業」という。)

(ニ) 本件ユーザーが、本件サイトの「お友達紹介」と称する機能を利用して本件サイトを第三者に紹介したこと(以下「本件友達紹介」という。)。

ハ 本件サイトの利用規約(以下「本件利用規約」という。)には、要旨、次の定めがある。

(イ) 第■条■■■
本件利用規約は、請求人が運営・提供する本件サービスにつき、本件ユーザーが本件サービスを利用する場合の諸条件を定めるものである。

(ロ) 第■条 ■■■
本件ユーザーは、請求人からのクリックポイント付き電子メールのクリック、請求人又は本件発注主の提供する商品・サービスの購入、マーケティング活動・調査等への応諾、ゲーム等への参加に伴い、請求人が発行する本件ポイントを取得することができる。

(ハ) 第■条 ■■■
本件ユーザーが1年間、本件ポイントを取得又は交換をしなかった場合、請求人は本件ユーザーの本件ポイントの一部又は全部を取り消すことができ、取り消された本件ポイントに対して請求人は何らの補償も行わず、また、一切の責任を負わない。

(4) 審査請求に至る経緯

イ 請求人は、平成29年7月1日から平成30年6月30日までの課税期間(以下「本件課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額を課税仕入れに係る支払対価の額に含めずに、確定申告書に別表の「確定申告」欄のとおり記載して、法定申告期限までに申告した。

ロ 請求人は、令和5年8月28日、本件課税期間の消費税等について、請求人が本件課税期間に本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとして、更正の請求書に別表の「更正の請求」欄のとおり記載して、更正の請求をした。

ハ 原処分庁は、これに対し、令和6年2月28日付で更正をすべき理由がない旨の通知処分(以下「本件通知処分」という。)をした。

ニ 請求人は、本件通知処分を不服として、令和6年5月15日に再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、同年9月3日付で棄却の再調査決定をした。

ホ 請求人は、再調査決定を経た後の本件通知処分に不服があるとして、令和6年10月2日に審査請求をした。

2 争点

本件課税期間において、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か。

3 争点についての主張

請求人 原処分庁

請求人は、本件課税期間において、本件ユーザーが本件アクションを行った場合に、本件ユーザーに対して本件ポイントを付与していたところ、本件ユーザーが本件アクションを行った場合には本件発注主から請求人に対して成果報酬が支払われており、本件ポイントの付与も当該成果報酬を原資として同タイミングで行われるものであるから、請求人は、本件ユーザーから本件アクションという役務の提供を受け、その対価として本件ポイントという経済的利益を付与しているといえる。

また、請求人は、本件課税期間において、本件ユーザーが本件友達紹介を行った場合にも、本件ユーザーに対して本件ポイントを付与していたところ、このことは、請求人が、本件ユーザーから新規ユーザーの紹介という役務の提供を受け、その対価として本件ポイントを付与しているといえる。

以上のとおり、本件ポイントは、本件ユーザーから受けた本件アクション及び本件友達紹介という役務の提供の対価として付与されたものであるから、本件課税期間において、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。

本件利用規約第■条によれば、本件ポイントは、本件ユーザーが請求人からのクリックポイント付き電子メールをクリックすること等に対し、請求人が本件ユーザーから対価を受け取ることなく無償で本件ユーザーに対し付与するものであり、また、本件利用規約第■条によれば、同条に定める要件に該当した場合には、本件ポイントを請求人が請求人の権限で取り消すことができ、その取り消した本件ポイントに対して請求人が補償を行わず一切の責任も負わないとされている。

これらのことからすれば、本件ポイントは、請求人が本件ユーザーから受けた資産の譲受け、若しくは借受け又は役務の提供に対する対価とはいえない。

したがって、本件課税期間において請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない。

4 当審判所の判断

(1) 法令解釈

イ 消費税等は、消費に広く薄く負担を求めるという観点から、ほとんど全ての国内取引や外国貨物を課税対象として、一定の税率で課税される間接税として設定され、事業者に負担を求めるのでなく、税金分は事業者の販売する物品やサービスの価格に上乗せされて次々と転嫁され、最終的には消費者に負担を求めるものとされ、生産及び流通の各過程で多重に課税されることを避けるため、売上げに係る消費税額から仕入れに係る消費税額を控除することにより、税が累積しないような仕組みが採られている。このような課税の仕組みは、消費税が消費そのものにではなく、消費支出に担税力を求めて課税する付加価値税の類型に属する多段階一般消費税として規定されていることを反映したものである。

ロ また、消費税法第2条第1項第12号は、「課税仕入れ」について、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供を受けること(他の者が事業として役務の提供等をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもの)と定めるから、ある支払が課税仕入れに係る支払対価に該当するためには、当該支払を受ける者が事業として役務の提供等をしたとした場合に、当該支払が当該役務提供等の「対価」(同項第8号)と認められる必要がある。

そして、上記イの消費税の性格及び課税の仕組みからすれば、消費税法は、ある支払が転嫁が可能な程度に個別具体的な役務の提供等と結びついている場合に課税対象とする趣旨であり、同法第2条第1項第8号の「対価を得て行われる・・・役務の提供」とは、個別具体的な役務の提供によって支払が生じたという対応関係が認められるような役務の提供を意味するものと解される。

したがって、ある支払が課税仕入れに係る支払対価として仕入税額控除の対象となるのは、当該支払が個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係が認められることが必要と解される。

(2) 認定事実

請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。

イ 本件アクションについて

本件アクションにおいて、本件ユーザーに対する本件ポイントの付与及び請求人の収益獲得の仕組みは、それぞれ次のとおりである。

(イ) 本件アフィリエイト

本件ユーザーは、本件発注主が提供するクレジットカードの発行等のサービスの申込み等を行う際に、本件サイト上に掲載されている広告バナーを経由して本件発注主のウェブサイトにアクセスして申込み等を行い、請求人は、当該申込み等が本件サイト上に掲載された条件を満たしていた場合に、本件ユーザーに本件ポイントを付与する。
請求人は、広告代理店を通じて、クレジットカードの発行等を行う本件発注主から、当該申込み等の内容に応じた広告料を収受する。

(ロ) 本件モニタリング

本件ユーザーは、本件サイト上に掲載されているアンケートに係る商品を実店舗で購入等をした上で、本件サイト上でアンケートの回答等を行い、請求人は、当該商品の購入等が本件サイト上に掲載された条件を満たしていた場合に、本件ユーザーに本件ポイントを付与する。
請求人は、広告代理店を通じて、アンケートを募集した本件発注主から、当該購入等の代金に応じた広告料を収受する。

(ハ) 本件コンテンツ利用

A 本件ゲーム参加

本件ユーザーは、本件サイト上に掲載されているコンテンツであるゲームに参加するとともに、当該ゲーム内で配信されている本件発注主の広告を視聴し、請求人は、当該ゲームの成果等に応じて、本件ユーザーに本件ポイントを付与する。
請求人は、広告代理店を通じて、当該ゲーム内で配信された広告の広告主である本件発注主から、当該広告の配信により発生した広告料を収受する。なお、本件サイト上の本件ゲーム参加に係るウェブページには、「■」と記載されている。

B 本件アンケート回答

本件ユーザーは、本件サイト上に掲載されているアンケートに本件サイト上で回答を行い、請求人は、当該アンケートの内容等に応じて、本件ユーザーに本件ポイントを付与する。
請求人と請求人が保有する本件ユーザーに係る会員組織の情報を利用してアンケート等を行う本件発注主との間の契約書によれば、請求人は、本件発注主に当該会員組織の情報を提供し、その利用の対価として、本件発注主から当該アンケートの内容等に応じた利用料を収受することとされている。また、当該アンケートは、本件発注主により実施されるものであり、回収したアンケートの回答結果等のデータは、本件発注主に帰属し、請求人は、主に本件ユーザーの管理に関する業務を行うこととされている。

C 本件軽作業

本件ユーザーは、本件サイト上に掲載されている名刺作成のためのデータ入力等や一定のテーマに沿った記事作成等の軽作業を本件サイト上で行い、請求人は、当該作業による成果が確認された場合に、当該作業内容に応じて、本件ユーザーに本件ポイントを付与する。
請求人と本件軽作業に係る代理店契約を締結している法人(以下「本件軽作業代理店法人」という。)との間の代理店契約書によれば、①請求人は、本件発注主が希望する成果を実現するため、インターネット上の不特定多数の本件ユーザーに対して細分化した軽作業を依頼し、本件ユーザーが実行した成果から本件発注主の条件を満たしている成果を採用するとした上で、②本件ユーザーが行う本件軽作業の成果については、本件発注主又は本件軽作業代理店法人が承認を行うこととされており、③本件発注主及び本件軽作業代理店法人は、請求人及び本件ユーザーに対して、成果の承認判断の理由に関する回答義務を負わないこととされている。
また、請求人は、本件軽作業代理店法人を通じて、本件軽作業を依頼した本件発注主から、作業の内容に応じたサービス料を収受する。
なお、本件サイト上の本件軽作業に係るウェブページには、「■」との記載とともに、「■」などの利用条件が記載されている。

ロ 本件友達紹介について

本件友達紹介において、本件ユーザーは、①インターネット上のブログ、ソーシャル・ネットワーキング・サービス又は電子メールに本件サイトの紹介記事を掲載し、本件サイトの広告バナーを貼るなどの方法により特定又は不特定の第三者に本件サイトを紹介した場合及び②当該第三者が本件サイトにユーザー登録して登録月の月末までに本件ポイントを1ポイント以上獲得した場合に、それぞれ本件ユーザーに本件ポイントが付与されるほか、③当該紹介した第三者が本件ポイント獲得した場合に、当該第三者が1か月で獲得した本件ポイントの一定割合の本件ポイントが本件ユーザーに付与される。また、上記①の場合については、請求人に対する本件ユーザーからの報告に基づいて、各本件ユーザーにつき月1回の紹介記事の掲載に限り、本件ポイントが付与され、上記②及び③の場合については、本件ユーザーに本件ポイントを「プレゼント」する旨、本件サイトに記載されている。

(3) 検討

イ はじめに

上記(1)のロのとおり、ある支払が課税仕入れに係る支払対価として仕入税額控除の対象となるのは、当該支払が個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係が認められることが必要と解される。
これを本件についてみると、本件ポイントの価値相当額が、請求人の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否かは、請求人による本件ポイントの付与が、本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係があるか否かで決せられることとなる。
そこで、以下においては、本件サービスに係る諸々の仕組みにおいて、本件ポイントの付与と本件ユーザーの個別具体的な行為との対応関係について検討する。

ロ 本件サービスにおける請求人と本件ユーザーの関係

上記1の(3)のハの(イ)のとおり、本件利用規約第■条は、要旨、本件利用規約は、請求人が運営・提供する本件サービスにつき、本件ユーザーが本件サービスを利用する場合の諸条件を定めるものとしており、同条の定めからすれば、本件ユーザーは、請求人が運営・提供する本件サービスの利用者であるという関係が認められ、上記(2)のイの(ハ)のA及びCの本件サイト上の本件ゲーム参加及び本件軽作業に係るウェブページの記載もこれに沿ったものになっている。
そして、上記1の(3)のハの(ロ)のとおり、本件利用規約第■条において、本件ユーザーは、一定の行為に伴い、請求人が発行する本件ポイントを取得することができるとされ、実際に本件ポイントが付与される仕組みは、上記(2)のとおり、本件アクション及び本件友達紹介を行うことであるところ、これらの行為を行うか否かについては、専ら本件ユーザーの自由な意思に委ねられていると認められる。

ハ 本件アクションについて

本件アクションの内容は、上記(2)のイのとおりであるところ、本件ユーザーによるこれらの行為は、本件アフィリエイトについては本件発注主のサービスの利用(同(イ))、本件モニタリングについては本件発注主の商品の購入等(同(ロ))、本件ゲーム参加についてはゲームへの参加及びそれに伴う本件発注主の広告の視聴である(同(ハ)のA)。また、本件アンケート回答については、上記(2)のイの(ハ)のBのとおり、本件ユーザーは本件発注主が実施するアンケートに回答し、その回答結果等のデータは請求人ではなく本件発注主に帰属することとされ、本件軽作業については、同Cのとおり、本件ユーザーは本件サイト上で軽作業を行うものの、当該軽作業の検収は本件発注主又は本件軽作業代理店法人が行うこととされている。

そうすると、本件アクションは、本件サイト上で行われるものの、本件ユーザーの行為による成果は本件発注主(本件軽作業については更に本件軽作業代理店法人)に帰属するのに対し、請求人は、本件アクションの内容そのものから何らかの成果を享受するものではないといえる。また、上記ロのとおり、本件アクションを行うか否かは本件ユーザーの自由な意思に委ねられていることからしても、本件アクションが、請求人から本件ユーザーに対する本件ポイントの付与と結び付いた役務の提供であると評価することは困難である。すなわち、本件ユーザーは、請求人に対する役務の提供として本件アクションを行っているのではなく、請求人が運営する本件サービスを利用して本件ポイントを取得するために、自らの自由な意思に基づいて本件発注主が求める行為を行っているという関係にあるものと評価できる。

一方、本件アクションにおける請求人の収益獲得の仕組みは上記(2)のイのとおりであるところ、その内容は、いずれも本件ユーザーが本件サイトを介して本件発注主の求める行為を行うことによって、請求人は、本件発注主からその内容等に応じた広告料その他の収入を受け取ることができるというものである。

以上のことからすれば、請求人は、本件ユーザーに対し、請求人に対する役務の提供の対価として本件ポイントを付与しているのではなく、飽くまで請求人が自らの収入である広告料その他の収入を増加させることを意図し、本件ユーザーが本件サービスを利用して本件発注主が求める行為を行うことを誘引するために本件ポイントを付与しているものと認められる。

したがって、本件ポイントと本件アクションとの間には、本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって本件ポイントの付与が生じたという対応関係があるとは認められない。

ニ 本件友達紹介について

本件友達紹介は、本件ユーザーが上記(2)のロの①の紹介記事の掲載等を行い、本件サイトを第三者に紹介するものであり、当該紹介により本件サービスのユーザーが増加すれば、請求人において広告料その他の収入の増加が期待されるものである。

そして、上記(2)のロの①の紹介記事の掲載等による第三者への紹介を行うか否かは、本件ユーザーの自由な意思に委ねられており、また、本件ポイントの付与は、紹介記事の掲載等をした本件ユーザーがその旨を請求人に自発的に報告しなければ、請求人が当該掲載等の事実を把握できず行われないものであるほか、本件ユーザーが月に複数回、紹介記事の掲載等を行ったとしても月1回しか本件ポイントが付与されないなど、本件ユーザーの行った個別具体的な行為と本件ポイントの付与との対応関係が必ずしも明確とはなっていない。

また、上記(2)のロの②及び③については、本件サイトを紹介された第三者がユーザー登録又は本件ポイントの獲得という当該第三者の自由な意思に基づいて行った行為の結果に対し、当該第三者を紹介した本件ユーザーにも本件ポイントが付与されるものであり、同ロのとおり、本件サイトにおいて、本件ユーザーに本件ポイントを「プレゼント」する旨記載されていることからも、本件サイトの紹介という本件ユーザーの行為と本件ユーザーに対する本件ポイントの付与との対応関係は明確とはいえない。

以上のことからすれば、本件友達紹介は、請求人にとって本件サービスのユーザーを増やすための広告手段にすぎず、本件ユーザーによる第三者への紹介を推奨するために、本件ユーザーの自発的な行為に対して本件ポイントを付与しているものと評価でき、本件ポイントと本件友達紹介との間には、本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって本件ポイントの付与が生じたという対応関係があるとは認められない。

ホ まとめ

以上によれば、請求人は、本件サイトに広告等を掲載して広告料その他の収入を得るという事業において、本件ユーザーに対し、本件発注主の求める行為を行うことを誘引するため又は第三者への本件サイトの紹介を推奨するために、本件ポイントを付与しているのであって、請求人による本件ポイントの付与が、本件アクション及び本件友達紹介との関係において、本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係があるとは認められない。これに加え、ほかに、本件課税期間において、請求人による本件ポイントの付与が本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたものと認めるべき事情がうかがわれないことからすれば、本件課税期間において、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないと解するのが相当である。

(4) 請求人の主張について

請求人は、上記3の「請求人」欄のとおり、本件ユーザーが本件アクションを行った場合に本件発注主から請求人に対して成果報酬が支払われており、本件ポイントの付与も当該成果報酬を原資として同タイミングで行われるものであるから、本件アクションにおいて、本件ポイントは、請求人が本件ユーザーから受けた本件アクションという役務の提供の対価として付与したものであり、本件友達紹介についても、本件ポイントは、請求人が本件ユーザーから新規ユーザーの紹介という役務の提供を受け、その対価として付与したものである旨主張する。

しかしながら、請求人による本件ポイントの付与が、本件ユーザーから個別具体的な役務の提供を受けたことによって生じたという対応関係があると認められないことについては上記(3)のホで述べたとおりであって、このことは、請求人が主張する上記事情があるか否かによって左右されるものではない。

したがって、請求人の主張には理由がない。

(5) 本件通知処分の適法性について

上記(3)のとおり、請求人が本件ユーザーに付与した本件ポイントの価値相当額は、課税仕入れに係る支払対価の額に該当せず、本件課税期間の消費税等の確定申告書の提出により納付すべき税額が過大であるとは認められないことから、本件は、国税通則法第23条《更正の請求》第1項第1号の規定による更正の請求ができる場合に該当しない。

また、本件通知処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。

したがって、本件通知処分は適法である。

(6) 結論

よって、審査請求は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり裁決する。

別表 審査請求に至る経緯 (省略)