税務調査時に起こるトラブルを避けるためにやっておくべきこと

税務調査

税務調査を受ける場合、調査実施の連絡から結果説明に至るまで、調査官とは何度となくやりとりをすることになりますが、今まで言っていたことと全く異なることを言われることがあります。その際にトラブルを避けるために是非やっておきたいことがあります。元国税調査官である税理士が解説します。

調査官とのやりとりを記録に残しておく

税務調査の連絡があって、実地の調査前までに修正申告書を提出する場合、更正を予知してされた修正申告が問題となることがあります。具体的には、実地調査の前に修正申告のきっかけを具体的に指摘したかが問題となるのですが、そのような問題があった際に税務署に対して的確に反論するために、最初に電話があったときに調査官とどのような会話をしたかを、当日(当日できない場合は、なるべく早い時期)に記録に残しておくべきです(ちなみに、更正予知の立証責任は納税者側にある(東京地裁昭和56年7月16日判決)とされています。)。

また、私が税務大学校で研修を受けた際に、租税法に精通している弁護士先生が語っていたことですが、その先生が立会いをしていた税務調査において調査担当者が変更になった際、「私は、前の担当者と同じ説は採りません。」と言われたという話を聴いたことがあります。

事案が複雑・困難なものであれば、1年を超えて調査が行われることもあり担当者が変更になることもありますが、その担当者が前の担当者と同じスタンスで対応するとは限りません

私自身は経験したことがありませんが、調査が終了に向けてまとまりかけていたのに、調査官の異動によりまた調査が仕切り直しになったという話も聞いたことがあります。

調査担当者の変更により、調査へのスタンスや方針が変わったときに、それまでの調査官とのやりとりを記録に残しておかなければ、交渉や反論をしようとしても、言った言わないの水掛け論になってしまいます。なので、調査官とのやりとりは記録に残しておきましょう

また、やられてみると分かりますが、目の前で記録とることによって、調査官に対して目に見えないプレッシャーを与えることもできます。