【所得税】東京地裁令和3年5月20日判決

判決イメージ 判決書(所得税)

国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。

事案の概要

原告は、平成24年12月、保有していた4種類の債券を譲渡したことにより損失を被ったところ、平成24年分の所得税の申告において、当該損失の額を譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額として計上し、その一部につき他の所得の金額から控除(損益通算)して総所得金額及び納付すべき税額を計算するとともに、本件損失額のうち上記損益通算により控除しきれなかった金額を翌年分に繰り越す純損失の金額とする内容の申告をし、さらに平成25年分の所得税等に係る申告において、平成24年分から繰り越された純損失の金額を平成25年分の総所得金額から控除して申告した。これらの申告につき、税務署長は、本件各債券は租税特別措置法37条の15第1項1号に規定する譲渡のいずれにも当たらないから、本件損失額については、同法37条の15第2項の規定により所得税法の規定の適用上ないものとみなされ、その金額の損益通算等の対象とすることはできないとして、平成24年分の所得税及び平成25年分の所得税等につき、本件各処分をした。
本件は、原告が、本件各債券は租税特別措置法施行令25条の15第2項4号に定める公社債に当たるから、措置法37条の16第1項2号、同条2項の規定により、本件損失額については同法37条の15第2項の規定は適用されず、その金額は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の額として損益通算等の対象となるなどと主張して、被告を相手に本件各処分の取消しを求めた事案。

基本情報

・税目:所得税
・処分行政庁:板橋税務署長
・課税年度:平成24~25年分
・提訴裁判所:東京地方裁判所
・提訴年月日:平成29年12月4日
・判決日:令和3年5月20日
・結果:認容

争点

・本件各債券が措置法施行令25条の15第2項4号に定める公社債に該当するか
・本件各処分が信義則又は租税公平主義に反し違法であるか
・原告が本件各修正申告において本件各債券が公社債に該当することを前提に税額等の計算をしたことについて通則法65条4項にいう「正当な理由」があるか

判決書データ

東京地裁令和3年5月20日判決