【法人税】東京高裁令和3年1月28日判決

判決イメージ 判決書(法人税)

国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。

事案の概要

原告らは、甲が代表者あるいは実質的な経営者として経営する会社であるところ、甲が複数の接待飲食店を利用した際の代金を原告らの業務のための交際費として支出したとして、それぞれ、①法人税等の確定申告において、上記支出額を所得の金額の計算上損金の額に算入して申告するとともに、②消費税等の確定申告において、上記支出額に係る消費税額を課税標準額に対する消費税額から控除して申告した。しかし、その後に受けた本件税務調査において、上記支出額には甲の個人的な飲食代金の金額が含まれているのではないかとの指摘を受けたことから、原告らは、指摘に係る支出額の相当部分を損金算入せず、甲への貸付金とする旨の法人税等及び消費税等の修正申告を行った。
税務署長は、本件各支出額について、原告らが取引先等を接待した事実がないにもかかわらず、これを交際費として総勘定元帳に記載していたことなどが、国税通則法68条1項の「事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し」たことに当たるとして、原告らに対し、本件各修正申告に係る重加算税の各賦課決定処分をした。
本件は、原告らが、本件各支出額は飽くまで取引先等の接待のために要した交際費であるから本件各賦課決定処分は課税要件を欠き、またその手続にも違法があるなどと主張して、被告を相手に、①本件各賦課決定処分の各取消し及び②本件各賦課決定処分に係る審査請求を棄却した国税不服審判所長の各裁決の各取消しを求めるとともに、③本件各賦課決定処分及び本件税務調査における質問検査権の行使が国家賠償法1条1項の適用上違法の評価を受けると主張して、原告らそれぞれにつき損害賠償金及びこれに対する本件各賦課決定処分の日から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案。

基本情報

・税目:法人税
・処分行政庁:板橋税務署長
・課税年度:平成22年11月1日~平成27年10月31日
平成22年7月1日~平成27年6月30日
平成22年6月1日~平成27年5月31日
・提訴裁判所:東京高等裁判所
・提訴年月日:令和2年4月8日
・判決日:令和3年1月28日
・結果:棄却

争点

・本件各賦課決定処分の課税要件充足性
・本件各賦課決定処分の手続上の違法性
・本件各裁決の違法性
・国賠法1条1項に基づく損害賠償請求権の成否

判決書データ

東京高等令和3年1月28日判決

原審はこちら⇩

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13406.pdf