国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。
事案の概要
原告は、複数の預金口座において外国通貨である米国ドル及びユーロを保有していたところ、平成29年から平成30年にかけて、米国に所在する不動産をドル建てで購入するなどの複数の外貨建取引を行った。原告は、これらの取引につき、為替差益に係る所得はないとの前提で平成29年分及び平成30年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告を行ったが、税務署長は、それらの外貨建取引につき為替差益が生じており、当該為替差益が雑所得に該当するとして、本件各年分の所得税等について各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分をした。
本件は、原告が、上記各処分が違法であると主張して、各更正処分の一部及び各賦課決定処分の取消しを求める事案。
基本情報
・税目:所得税
・処分行政庁:麻布税務署長
・課税年度:平成29~30年分
・提訴裁判所:東京地方裁判所
・提訴年月日:令和4年9月16日
・判決日:令和7年2月5日
・結果:棄却
争点
・本件各不動産取引によって原告に為替差益に係る所得が発生し、実現したといえるか(原告は、本件外貨建取引のうち本件不動産取引以外の各取引については、原告に為替差益に係る所得が発生し実現したこと及びこれが雑所得に当たることを争っていない。)。
・為替差益の額を算定する際の外貨の取得時の円換算額の算定方法