【令和7年10月1日現在】訴訟になっている課税事件

裁判所 課税関係訴訟事件一覧表

どのような課税事件が訴訟になっているのか確認すべく、令和7年10月1日に、国税庁に行政文書の開示請求をして資料を取り寄せてみました。

新規発生事件

東京地裁(民事第38部)

【税目】法人税
【被告】国(目黒税務署長)
【概要】
(1) 相手側が相手側の代表者から各種情報の提供を受けたとして計上した研究開発費(本件各研究開発費)は、法人税法上の繰延資産に該当し、本件各研究開発費に係る償却費の額を損金の額に算入することができるか否か。また、本件各研究開発費の額は、消費税法上の課税仕入れに係る支払対価の額に含まれるか否か。
(2) 本件において国家賠償法1条1項の違法が認められるか否か。
【年分】2/3~4/3
【処分部署】税務署
【提訴日】令和7年5月13日
【裁決事例集搭載】搭載なし
【裁決要旨】

大阪地裁(第7民事部)

【税目】所得税
【被告】国(北税務署長)
【概要】
外国子会社合算税制の適用の可否(①居住者該当性、②特定外国子会社該当性、③適用対象金額を算出する際、他の特定外国子会社からの配当を控除すべきか否か)
【年分】30
【処分部署】資料調査課等
【提訴日】令和7年9月9日
【裁決事例集搭載】搭載なし
【裁決要旨】

判決のあった事件

東京高裁令和7年9月17日判決

【税目】所得税
【被告】国(麻布税務署長)
【概要】
(1) 多額の米国ドル預金を保有する相手側が、米国ドルの借入れを行って米国ドル建て不動産を取得した取引によって、相手側に為替差益に係る所得が発生し、実現したといえるか否か。
(2) 上記(1)の取引における米国ドルの取得時の円換算額は、総平均法に準ずる方法(国側主張)又は個別法(相手側主張)のいずれの方法を用いて算定することが合理的であるか。
【年分】29、30
【処分部署】税務署
【判決日】令和7年9月17日
【結果】棄却

東京高裁令和7年9月18日判決

【税目】法人税
【被告】国(金沢税務署長)
【概要】
原告が土地建物を取得した後、当該建物を取り壊して損金に算入した取得費は、当該土地の取得費に含めるべきか、否か。
【年分】31
【処分部署】調査部
【判決日】令和7年9月18日
【結果】棄却

東京地裁令和7年9月17日判決

【税目】消費税
【被告】国(麻布税務署長事務承継者京橋税務署長)
【概要】
(1) その一部が住宅用に賃貸されている販売用建物の購入及び当該建物に対する工事のうち、購入から販売までの期間を通じて空室であった部分に係る課税仕入れは、消費税法30条2項(仕入れに係る消費税額の控除)の適用に当たり、「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」と「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」のいずれに該当するか。
(2) 空室のある売却対象物件の買主に対する空室部分に係る家賃相当額の支払は、消費税法38条1項に規定する「売上げに係る対価の返還等」に該当するか否か。
【年分】28/9
【処分部署】調査部
【判決日】令和7年9月17日
【結果】棄却

札幌地裁令和7年9月18日判決

【税目】消費税
【被告】国(札幌南税務署長)
【概要】
1 消費税更正等各処分に係る理由附記に違法があるか否か。
2 消費税更正等各処分に係る調査に調査手続上の違法があるか否か。
(本人訴訟)
【年分】29、1~3
【処分部署】税務署
【判決日等】令和7年9月18日
【結果】棄却

完結した事件

東京局・所得税(源泉)

【税目】所得税(源泉)
【被告】国(本所税務署長)
【概要】
(1) 平成29年11月、平成30年11月及び同年12月の3回にわたり訴外相手側元理事長の口座に振り込まれた金員は、相手側から訴外相手側元理事長に対する給与に該当するか。
(2) 相手側に、国税通則法68条3項に規定する隠蔽又は仮装の事実があったと認められるか否か。
【年分】29/11、30/11、30/12
【処分部署】資料調査課等
【判決日等】
・東京地裁令和7年8月6日判決 ⇒ 棄却

名古屋局・相続税

【税目】相続税
【被告】国(一宮税務署長)
【概要】
原告が納付した本件相続税について国が保持することが不当利得に当たるか否か。
(本人訴訟)(請求額:1,224,800円 仮執行宣言請求あり)
【年分】28
【処分部署】税務署
【判決日等】
・名古屋地裁令和6年12月5日判決 ⇒ 棄却
・名古屋高裁令和7年5月14日判決 ⇒ 棄却
・最高三小令和7年9月17日決定 ⇒ 棄却

大阪局・贈与税

【税目】贈与税
【被告】国(豊能税務署長)
【概要】
1 本件各処分は、通則法第25条に規定する「調査により」行われたものであるか否か。
2 本件各処分の理由の提示に不備があるか。
3 本件課税期間における本件各株式の「時価」(相法7)はいくらか
【年分】30
【処分部署】税務署
【判決日等】
・大阪地裁令和7年8月29日判決 ⇒ 棄却

広島局・法人税

【税目】法人税
【被告】国(広島西税務署長)
【概要】
米国の集団訴訟において原告団との間で成立した和解合意に基づいて原告が支払った金員は、国外関連者に対する寄附金に該当するか否か。
【年分】30/3、31/3
【処分部署】調査部
【判決日等】
・東京地裁令和7年9月10日判決 ⇒ 全部敗訴(納税者勝訴)

福岡局・相続税

【税目】相続税
【被告】国(久留米税務署長)
【概要】
会社が保有する相続財産の株式に係る医療法人の持分の評価
【年分】30
【処分部署】税務署
【判決日等】
・福岡地裁令和6年11月13日判決 ⇒ 棄却
・福岡高裁令和7年6月26日判決 ⇒ 棄却

参考

一覧表の「原告等」及び「事件番号」は、個人の氏名については特定の個人を識別することができる情報に該当すること、法人の名称については法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるという理由で不開示となっています。
なお、下記の記事では「課税関係訴訟事件一覧表(令和4年4月1日現在)」から集計した第一審の提訴裁判所と各審級(第一審・控訴審・上告審)の終局までの日数を取り上げております。
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また、訴訟になっている事件の資料を裁判所で閲覧したい場合は、以下の記事を参考にしてください。
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