令和4年1月7日裁決・大裁(所)令3-28

裁決書

国税不服審判所に情報公開請求をし、表題の裁決書を入手してみました。

裁決要旨

請求人は、請求人が行う海外の銀行の定期預金を紹介するアフィリエイト(本件アフィリエイト)に係る所得は、①本件アフィリエイトの主たる手段であるセミナーの主眼が、請求人が代表を務める法人の事業に係る商品の紹介であって、セミナー開催は本件アフィリエイトの継続性を示すものではないこと、②接待交際費の中に本件アフィリエイトに係るものはほとんどないこと、③請求人の危険と計算によって企画遂行しているものといえず、費やす精神的・肉体的労力も大きいとはいえないこと、④人的・物的設備を有しないこと、⑤法人の代表としての業務の片手間で行っていたものであることなどから、所得税法施行令第63条《事業の範囲》第12号に規定する「対価を得て継続的に行う事業」には当たらず、雑所得に該当する旨主張する。しかしながら、本件アフィリエイトは、請求人又は請求人の傘下のアフィリエイターの紹介によって当該定期預金口座への預入れが生じた場合に、請求人に報酬が支払われるものであるから、本件アフィリエイトの本質は当該定期預金等の紹介にあり、傘下のアフィリエイターの獲得やその活動のサポートは報酬獲得の重要な要素であるといえる。そして、請求人は、その獲得等のために、自身のコンサルティング型の営業での実績や社会的地位を生かしてセミナーで講師を務め、接待交際やセブ島への無料招待も行っていることから、本件アフィリエイトに係る所得は、自己の計算と危険において営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得に当たるといえる。このことに加えて、本件アフィリエイトに係る活動の実施状況、これに費やした精神的・肉体的労力、本件アフィリエイトに係る利益の規模その他の状況を踏まえれば、本件アフィリエイトは、「対価を得て継続的に行う事業」に当たるといえ、これを否定すべき事情は認められない。したがって、本件アフィリエイトに係る所得は事業所得に該当する。

基本情報

・裁決番号:大裁(所)令3第28号
・税目:所得税
・管轄:大阪国税不服審判所
・裁決日:平成4年1月7日
・結果:棄却

争点

・本件アフィリエイトに係る所得は、所得税法第27条第1項に規定する事業所得に該当するか否か。
・本件マイニングに係るに所得は、所得税法第35条第1項に規定する雑所得に該当するか否か。
・本件各修正申告書の提出は、通則法第65条第5項に規定する調査通知前に。その申告に係る国税についての調査があったことにより当該国税について更正があるべきことを予知してされたものでないか否か。仮に調査通知前にされたものでないとしても、同条第1項括弧書の適用があるか否か。

裁決書データ

令和4年1月7日裁決