国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。
事案の概要
原告会社は、平成25年8月22日に、原告母A,原告長男A、訴外長女A及び訴外次女Aから、原告会社の株式7498株を取得(本件取引1等)した上で、原告長男Bに対し、当該株式7498株を処分した(本件取引2)。
第1事件は、原告母Aが、平成25年分の所得税等の確定申告書を提出したところ、税務署長が、本件取引1は所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するなどとして、本件更正処分等(原告母A分)(ただし、裁決により一部取り消される前のもの)をしたことから、原告母Aが、本件更正処分等(原告母A分)の取消しを求めた事案である。
第2事件は、原告長男Aが、平成25年分の所得税等の確定申告書を提出したところ、税務署長が、本件取引1は所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するなどとして、本件更正処分等(原告長男A分)(ただし、裁決により一部取り消される前のもの)をしたことから、原告長男Aが、当該処分等の取消しを求めた事案である。
第3事件のうち原告長男Bの請求に係るものは、原告長男Bが、平成25年分の所得税等の確定申告書を提出したところ、税務署長が、本件取引2は廉価でされたものであり、それによって享受した経済的な利益は所得税法28条1項所定の「給与等」に該当するなどとして、本件更正処分等(原告長男B分)をしたことから、原告長男が、当該処分等の取消しを求めた事案である。
第3事件のうち原告会社の請求に係るものは、税務署長が、上記の経済的な利益は所得税法28条1項所定の「給与等」に該当するため、原告会社はそれに係る源泉徴収義務を負うことになるなどとして、本件各納税告知処分等(原告会社分)をしたことから、原告会社が、当該処分等の取消しを求めた事案である。
基本情報
・税目:所得税(源泉)
・処分行政庁等:札幌西税務署長、旭川東税務署長
・課税年度:平成25年分
・提訴裁判所:東京地方裁判所
・提訴年月日:平成30年8月31日
・判決日:令和4年2月14日
・結果:棄却
争点
・本件取引1が所得税法59条1項2号所定の「著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡」に該当するか否か等
・本件取引2及び3によって享受した経済的な利益が所得税法28条1項所定の「給与等」に該当するか否か等
・本件取引1及び2に係る意思表示が錯誤無効であるか否か等