エクセルで経理をしていたり、仕事の書類をパソコンのデータで管理している場合、税務調査においてパソコンの中身を確認されることがあります。ファイルの内容はもちろんですが、それ以外にも確認される箇所があります。どこを確認されることが多いのか、元国税調査官である税理士が解説します。
パソコンで確認される箇所
電子データは、紙の書類に比べて改ざんや消去が容易であるというと特徴があります。なので、税務調査でパソコンを確認する際にもデータが改ざんされていないかとか、消去や隠ぺいされていないかといった観点から、ファイルの中身以外にも以下のような箇所を確認したりします。
隠しファイル
調査官に示すファイルとは別に、裏ファイルを作成し隠しファイルにしていることもあるため、「隠しファイル」にチェックを入れて確認されます。
検索ボックス
windowsのパソコンをお使いの方であれば、スタートメニューの右に検索ボックスが表示されていると思います。ここに「売上」や「損益」など入力したりして、確認されます。
ファイル名を指定して実行
windowsのパソコンをお使いの方であれば、「Windowsキー + R」を押すと、「ファイル名を指定して実行」の検索画面がでてきます。ここに「recent」といれて「OK」をクリックすると、最近使ったファイルが表示されますので、怪しいファイルがないか確認されます。
最近使ったアイテム
Office製品のWordやExcelを開く、「最近使ったアイテム」が表示されますので、怪しいファイルがないか確認されます。
ファイルのプロパティ
ファイルのプロパティを見ると、「作成日時」や「更新日時」が表示されます。調査官に対して答えた内容とファイルの作成日時等が整合しているか確認されます。
ブラウザのお気に入り・履歴
webサイトを閲覧するために使用するブラウザには、「お気に入り」を登録したり「履歴」を表示したりする機能があるかと思います。この「お気に入り」や「履歴」から把握していないアカウントや口座などがないか確認されます。
上記の他にも、メールやSNS上のやりとりを確認されることもあります。
調査官への提示方法
パソコンの中身を確認される場合、調査官にはどのように提示すればよいのか?国税庁HPに掲載されている「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」には、内容をディスプレイの画面上で調査担当者に確認し得る状態で示めせばよい旨記載されています。
問5 提示・提出を求められた帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、どのような方法で 提示・提出すればよいのでしょうか。
帳簿書類等の物件が電磁的記録である場合には、提示については、その内容をディスプレイの画面上で調査担当者が確認し得る状態にしてお示しいただくこととなります。
一方、提出については、通常は、電磁的記録を調査担当者が確認し得る状態でプリントアウトしたものをお渡しいただくこととなります。また、電磁的記録そのものを提出いただく必要がある場合には、調査担当者が持参した電磁的記録媒体への記録の保存(コピー)をお願いする場合もありますので、ご協力をお願いします。(注) 提出いただいた電磁的記録については、調査終了後、確実に廃棄(消去)することとしています。