国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。
事案の概要
原告は、B株式会社の大株主であった乙氏との間で、対象会社の株式の公開買付けに係る応募契約を締結した上で、対象会社の株式についての公開買付けを行い、その後対象会社の発行済株式の全部を所有するに至ったが、対象会社において不適切な会計処理が行われていたことが判明したことから、対象会社とともに乙氏外1名に対する損害賠償を求める訴え(本件別訴)を提起したところ、乙氏外1名及び本件別訴の補助参加人が原告に対し「解決金」名目で連帯して本件解決金の支払義務があることを認める旨の条項を含む訴訟上の和解が成立し、原告は本件解決金を受領した。
本件は、原告が、本件事業年度の法人税について、本件解決金の額を益金の額に算入するとともに、子会社株式評価損勘定を用いて本件解決金の額と同額を損金の額に算入して確定申告及び修正申告をし、この計算を前提として本件課税事業年度の地方法人税の確定申告及び修正申告をしたところ、税務署長が、当該評価損の対象とされた株式についてその評価損を損金の額に算入することができる事実は生じていないなどとして、上記法人税及び上記地方法人税に係る更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分をしたことから、これらの取消しを求めた事案。
基本情報
・税目:法人税
・処分行政庁:麻布税務署長
・課税年度:平成27年4月1日~平成28年3月31日
・提訴裁判所:東京高等裁判所
・提訴年月日:令和2年8月19日
・判決日:令和3年3月11日
・結果:棄却
争点
・本件解決金が、損害賠償金として支払われたものであるか
・本件乙氏所有株式の取得対価の返金として支払われたものであるか
判決書データ
原審はこちら⇩
https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13437.pdf