税務調査は無予告で行われることもありますが、大半は事前に調査実施の連絡があって実施されます。その連絡はいつ頃あって、何を伝えられるのか、元国税調査官である税理士が解説します。
2~3週間程度前に電話で連絡があるのが一般的
税務署からの調査を実施したいという連絡の時期について、国税庁HPに掲載されている「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」では、以下のように回答されております。
問13 事前通知は、調査の何日くらい前に行われるのですか実地の調査を行う場合の事前通知の時期については、法令に特段の規定はなく、また、個々のケー
スによって事情も異なりますので、何日程度前に通知するかを一律にお示しすることは困難ですが、
調査開始日までに納税者の方が調査を受ける準備等をできるよう、調査までに相当の時間的余裕を置
いて行うこととしています。
これによれば、国税は何日程度前になるかは示すことはできないというスタンスをとっているのですが、私の経験から言うと、個人の税務調査の場合は調査官が実地調査をしたいと考えている2~3週間程度前に連絡がされることが多いです。
そして、連絡は、通常は申告書に記載されている電話番号にされ、いつ調査を実施できるか日程調整がされることになります。
その次に、以下の事前通知事項と呼ばれるものが伝えられます。
② 実地の調査を開始する日時
③ 調査を行う場所
④ 調査の目的
⑤ 調査の対象となる税目
⑥ 調査の対象となる期間
⑦ 調査の対象となる帳簿書類その他の物件
⑧ 調査の相手方である納税義務者の氏名及び住所
⑨ 調査を行う職員の氏名及び所属官署
⑩ 調査の日時と場所は変更可能であること
⑪ 通知されなかった事項についても「非違が疑われることとなった場合」は調査が可能であること
このうち、「④調査の目的」については、「所得金額の確認」や「申告内容の確認」とのみ伝えられることが多く、本当の目的が伝えられることはほぼありません。それをすると、調査官の手の内を明かすことになるからです。
「⑨調査を行う職員の氏名及び所属官署」について、2人以上の職員が実地調査にくる場合には、調査担当者を代表する者の氏名・所属官署と、臨場予定人数が伝えられることになっています。
また、「⑩調査の日時と場所は変更可能であること」とありますが、調査日時の調整後に、日程の都合が悪くなることもあるかと思います。その場合は、「業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議」することになっているので、まずは調査官に連絡してみましょう。上記の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」には、次のとおり記載されています。
問16 事前通知を受けた調査開始日時については、どのような場合に変更してもらえるのですか。税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。
また、事前通知後においても、通知した日時について、例えば、一時的な入院、親族の葬儀、業務上やむを得ない事情が生じた場合等には、申し出ていただければ変更を協議します。
なお、例示した場合以外でも、理由が合理的と考えられれば変更を協議しますので、調査担当者までお申し出ください