税務調査に選定されやすい個人事業主・フリーランスの特徴とは?

税務調査

過去に調査選定した経験から、税務調査に選定されやすい個人事業主・フリーランスの方の特徴は何か考えてみました。

売上が900万円台

売上が連年900万円台である場合、決算書を見た税務署の職員はある疑念を抱きます。それは、消費税を納めるのを回避するために、意図的に売上を抜いているのではないかというものです。消費税は、売上が1,000万円を超えると、その2年後から納税する決まりになってます。なので、連年売上が900万円台になっていると、消費税を納めたくない事業者が、売上が1,000万円以下になるように売上を抜いているのではないかと考え、調査に選定したくなります。

また、仮に調査をして、結果的に売上が1,000万円以上となった場合は、新たに納税が必要になる消費税の金額も評価の対象となる調査事績にカウントされることから、この点からも調査に選定される可能性が高いと思います。

売上が増えているにも関わらず所得が低調

通常、売上が増加するとそれに比例して所得も増加するものですが、そうはなっていない決算書をみることがあります。この場合、経費にならないものが経費となっている可能性が高いと考えられることから、調査事案として選定される可能性が高くなると思います。

所得が著しく変動している

所得については、同じ仕事をしているのであれば基本的に毎年同じような金額になるはずです。しかしながら、申告書や決算書を見るとやっている仕事に変更はなさそうなのに、過去の申告と比較すると所得が著しく変動している決算書を見ることがあります。このような場合調査事案として選定される可能性が高くなると思います。

所得が生活費が賄えないほど少ない

総務省が公表している「家計調査報告(家計収支編)2020年(令和2年)平均結果の概要」によると、二人以上の世帯の2020年における平均消費支出(生活費)は、1世帯当たり1か月平均277,926円とのことです。ここから平均的な世帯であれば、年間に必要な生活費として、277,926×12ヶ月=3,335,112円と計算できるのですが、決算書をみていると、売上が1千万円以上あるにもかかわらず、所得金額がこの金額以下というものを見かけます。

そういう場合であっても、貯金を切り崩して生活している場合もありますので、生活ができないということはないのですが、税務署の職員としては、所得金額の算定がおかしいのではないかという疑念をいだきますので、こういう場合は調査に選定される可能性が高くなると思います。

給与所得と事業所得の赤字を損益通算して還付申告

事業所得が赤字になることは珍しくないのですが、給与所得と損益通算するためだけに事業をやって所得を赤字にしていると思われる決算書を見ると、そもそも事業性があるのかなという疑問が浮かびます。例えば、売上1,000円に対して経費が3,000,000円(中古の外国車の減価償却費などを計上)という決算書は、選定されやすいと思います。

経費の数字がラウンド

経費の数字がラウンド(100,000円といったきりのよい数字)である場合、領収書など支出を証明できる資料に基づいていない可能性が高いと考えらます。黒字であればまだしも、赤字であれば選定される可能性は高いと思います。