【所得税】東京高裁令和3年1月27日判決

判決イメージ 判決書(所得税)

国税局に情報公開請求をし、表題の判決書を入手してみました。

事案の概要

横浜市内に保険医療機関であるAクリニックを個人で開設する医師である原告は、平成23年分から平成25年分までの所得税等の確定申告をするに当たり、その事業所得の金額の計算上、他の保険医療機関で実施された手術について業務委託契約に基づき行った麻酔関連医療業務に係る報酬の金額が租税特別措置法26条1項にいう「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当することを前提に、同項所定の概算経費率を乗じて計算した金額を必要経費に算入した。また、原告は、本件業務に係る役務の提供の対価(本件各報酬)につき、消費税法上非課税となることを前提に、本件各課税期間の消費税等の確定申告をしなかった。
これに対し、税務署長は、本件各報酬額は上記「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当せず、本件概算経費額を必要経費に算入することはできないことなどを理由に、原告に対し、本件各年分の所得税等の各更正処
分をした。また、税務署長は、本件役務提供の対価(本件各報酬)は消費税法上非課税とならないことを理由に、本件各課税期間に係る消費税等の各決定処分及びこれらに伴う無申告加算税賦課決定処分をした。
本件は、原告が、被告を相手に、本件所得税各処分の一部(本件概算経費額の必要経費への不算入を理由とする部分)の取消しを求めるとともに、本件消費税各処分の全部の取消しを求めた事案である。

基本情報

・税目:所得税
・処分行政庁:戸塚税務署長事務承継者鎌倉税務署長
・課税年度:平成23~25年分
・提訴裁判所:東京高等裁判所
・提訴年月日:令和2年2月13日
・判決日:令和3年1月27日
・結果:棄却

争点

・本件各報酬額は、措置法26条1項にいう「社会保険診療につき支払を受けるべき金額」に該当するか否か
・本件役務提供は、消費税法6条1項、別表第1第6号に規定する非課税資産の譲渡等に該当するか否か

判決書データ

東京高裁令和3年1月27日判決

原審はこちら⇩

https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/soshoshiryo/kazei/2020/pdf/13375.pdf