国税不服審判所に情報公開請求をし、表題の裁決書を入手してみました。
事案の概要
本件は、請求人が、接待交際費等及び請求人の妹に対する給与賃金を事業所得の金額の計算上必要経費に算入するなどして所得税等及び消費税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該接待交際費等の一部については、請求人の業務に直接関係しその遂行上必要なものであるとは認められず、また、請求人の妹は、請求人と生計を一にする親族に該当するから当該給与賃金等は事業所得の金額の計算上必要経費に算入できないなどとして更正処分等をしたことから、その全部の取消しを求めた事案である。
基本情報
・裁決番号:大裁(所・諸)令7第12号
・税目:所得税
・管轄:大阪国税不服審判所
・裁決日:令和7年9月18日
・結果:一部取消し
争点
(1) 本件調査の手続に本件各更正処分等を取り消すべき違法があるか否か。
(2) 本件各更正処分等の理由の提示に不備があるか否か。
(3) 本件妹は、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に当たるか否か。
(4) 本件各費用は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否か。
(5) 本件各取引費用は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か。
裁決書データ
裁決書テキスト
※以下は生成AIでテキスト化したものです。
主 文
1 令和元年分、令和2年分及び令和3年分の所得税及び復興特別所得税の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分は、いずれもその一部を別紙1-1、別紙1-2及び別紙1-3の「取消額等計算書」のとおり取り消す。
2 平成31年1月1日から令和元年12月31日まで、令和2年1月1日から令和2年12月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分並びに平成31年1月1日から令和元年12月31日まで及び令和3年1月1日から令和3年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の過少申告加算税の各賦課決定処分は、いずれもその一部を別紙2-1、別紙2-2及び別紙2-3の「取消額等計算書」のとおり取り消す。
3 その他の原処分に対する審査請求をいずれも棄却する。
理 由
1 事実
(1) 事案の概要
本件は、税理士業及び行政書士業を営む審査請求人(以下「請求人」という。)が、接待交際費等及び請求人の妹に対する給与賃金を事業所得の金額の計算上必要経費に算入するなどして所得税等及び消費税等の確定申告をしたところ、原処分庁が、当該接待交際費等の一部については、請求人の業務に直接関係しその遂行上必要なものであるとは認められず、また、請求人の妹は、請求人と生計を一にする親族に該当するから当該給与賃金等は事業所得の金額の計算上必要経費に算入できないなどとして、所得税等及び消費税等の更正処分等をしたのに対し、請求人が、①調査手続に当該更正処分等を取りべき違法がある、②理由付記に不備がある、③当該接待交際費等は事業所得の金額の計算上必要経費に算入できる、④当該妹は請求人と生計を一にする親族に該当しないなどとして、その全部の取消しを求めた事案である。
(2) 関係法令等
関係法令等は、別紙3のとおりである。
なお、別紙3で定義した略語については、以下、本文及び別紙においても使用する。
(3) 基礎事実
当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
なお、以下では、所得税及び復興特別所得税を併せて「所得税等」といい、令和元年分、令和2年分及び令和3年分を併せて「本件各年分」という。
また、消費税及び地方消費税を併せて「消費税等」といい、消費税等の各課税期間について、その暦年をもって表記し(例えば、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの課税期間を「令和元年課税期間」という。)、令和元年課税期間、令和2年課税期間及び令和3年課税期間を併せて「本件各課税期間」という。
イ 請求人の営む事業について
(イ) 請求人は、税理士業及び行政書士業を営む個人事業者(以下、請求人が営む事業を「本件事業」という。)である。
(ロ) 請求人は、請求人の妹である■■■■(以下「本件妹」という。)に対し、給与賃金として、令和元年分について■■■■円、令和2年分について■■■■円、令和3年分について■■■■円をそれぞれ支払った。
ロ 請求人の住居の状況について
請求人は、平成24年7月9日から■■■■所在の建物の1室(以下「■■■■」という。)に居住していたが、令和2年11月18日、■■■■から■■■■所在の建物の1室(以下「■■■■」という。)に転居した(以下、■■■■及び■■■■を併せて「本件各家屋」という。)。
(4) 審査請求に至る経緯
イ 確定申告について
(イ) 所得税等の確定申告書の提出
請求人は、本件各年分の所得税等について、青色の各確定申告書に別表1の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までにそれぞれ申告した。
(ロ) 消費税等の確定申告書の提出
請求人は、本件各課税期間の消費税等について、各確定申告書に別表2の「確定申告」欄のとおり記載して法定申告期限までにそれぞれ申告した。
(ハ) 所得税等及び消費税等の法定申告期限
通則法第11条《災害等による期限の延長》及び国税通則法施行令第3条《災害等による期限の延長》第2項の規定に基づき、令和元年分の所得税等及び令和元年課税期間の消費税等の法定申告期限は、令和2年3月6日付国税庁告示第1号により同年4月16日まで、また、令和2年分の所得税等及び令和2年課税期間の消費税等の法定申告期限は、令和3年2月15日付国税庁告示第3号により同年4月15日まで、それぞれ延長されていた。
また、請求人は、令和3年分の所得税等及び令和3年課税期間の消費税等の各確定申告書を国税電子申告・納税システムにより提出する際、令和3年分の所得税等の確定申告書の「特記事項」欄に「コロナウイルスによる申告・納付期限延長」と記載し、これにより令和3年課税期間の消費税等の確定申告書についても同様に期限延長申請の意思があるものと取り扱われた。
ロ 原処分庁の調査について
(イ) 原処分庁所属の調査担当職員(以下「本件調査担当職員」という。)は、令和4年9月29日、請求人に対し、本件各年分の所得税等及び本件各課税期間の消費税等について、通則法第74条の9《納税義務者に対する調査の事前通知等》に規定する調査の事前通知を行い、同年11月2日、請求人に対し、所得税等及び消費税等に係る調査(以下「本件調査」という。)を開始した。
(ロ) 請求人は、令和5年7月20日、■■■■(以下「本件税理士」という。)を税務代理人とする税務代理権限証書を原処分庁に提出した。
ハ 原処分について
(イ) 原処分庁は、本件調査に基づき、令和6年6月28日付で、別表1の「更正処分等」欄のとおり、本件各年分の所得税等の各更正処分(以下「本件所得税等各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件所得税等各賦課決定処分」という。)をするとともに、別表2の「更正処分等」欄のとおり、本件各課税期間の消費税等の各更正処分(以下「本件消費税等各更正処分」といい、本件所得税等各更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件消費税等各賦課決定処分」といい、本件所得税等各賦課決定処分と併せて「本件各賦課決定処分」といい、本件各更正処分と本件各賦課決定処分を併せて「本件各更正処分等」という。)をした。
(ロ) 請求人が上記イの(イ)の各確定申告において、事業所得の金額の計算上必要経費に算入した接待交際費、会議費、給与賃金、地代家賃及び支払手数料に係る各金額のうち、原処分庁が本件所得税等各更正処分において、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないとした各金額は、それぞれ別表3の「否認額」欄のとおりである(以下、別表3の「否認額」欄の「接待交際費」、「会議費」、「給与賃金」、「地代家賃」及び「支払手数料」の各金額を、順次、「本件接待交際費」、「本件会議費」、「本件給与賃金」、「本件地代家賃」及び「本件支払手数料」といい、これらを併せて「本件各費用」という。)。また、請求人が上記イの(ロ)の各確定申告において、課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとした接待交際費、会議費、地代家賃及びゴルフ会員権の名義書換料に係る各金額のうち、原処分庁が本件消費税等各更正処分において、課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとした各金額(本件各費用(本件給与賃金及び本件支払手数料を除く。)のうち課税取引に係るもの及びゴルフ会員権の名義書換料)は、それぞれ別表4の「否認額」欄のとおりである(以下、別表4の「否認額」欄の本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないとされたものを「本件各取引費用」という。)。
(ハ) 本件各更正処分等のうち、令和元年分の所得税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分並びに令和元年課税期間の消費税等の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分に係る各通知書には、処分の理由として、要旨、別紙4のとおりの記載があり、その他の本件各更正処分等に係る各通知書にも、同様の記載があった。
ニ 審査請求について
請求人は、令和6年9月26日、本件各更正処分等に不服があるとして、審査請求をした。
2 争点
(1) 本件調査の手続に本件各更正処分等を取り消すべき違法があるか否か(争点1)。
(2) 本件各更正処分等の理由の提示に不備があるか否か(争点2)。
(3) 本件妹は、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に当たるか否か(争点3)。
(4) 本件各費用は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否か(争点4)。
(5) 本件各取引費用は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か(争点5)。
3 争点についての主張
(1) 争点1(本件調査の手続に本件各更正処分等を取り消すべき違法があるか否か。)について
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
| イ 本件調査担当職員は、請求人に対し、各種一覧表を手交して、繰り返し回答を求めることにより、必要経費該当性の判断材料を得るべく社会通念上要求される程度の努力を尽くしたにもかかわらず、請求人は、一部の支出について回答するのみであった。したがって、本件調査の手続は適法である。
ロ 本件調査担当職員は、令和6年6月18日、請求人に対して、更正すべきと認めた額及びその理由について、税目ごとに調査結果の説明を行い、本件接待交際費については、どのような事実及び根拠に基づき事実認定を行ったのかを具体的に説明しているから、単に費目と金額と必要経費として認められないとする結論のみを通告したという請求人の主張は事実と異なる。 |
イ 請求人は、本件調査に協力し、業務との関連性について説明し、資料を提示したのに、原処分庁は、請求人の説明や証拠資料について一切考慮することなく、本件各更正処分等をしたのであるから、税務調査の裁量権の範囲を逸脱しており、本件調査の手続は違法である。
ロ 請求人は、原処分庁が、請求人が示した資料について、どのような根拠で取捨選択したのか、採用した証拠からいかなる事実が認定されたのか、適用法令についてどのような法令解釈によって結論に至ったのかについての説明を受けておらず、単に費目と金額と必要経費として認められないとする結論のみが通告されたにすぎず、必要な調査結果の説明がされていない。 |
(2) 争点2(本件各更正処分等の理由の提示に不備があるか否か。)について
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
| イ 不利益処分の理由付記については、当該不利益処分の根拠について、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服申立てに便宜を与える趣旨を充足する程度に具体的に明示するものであれば足りるのであって、請求人が提示した個々の資料等に係る個別の検討結果まで記載する必要はない。本件各更正処分等に係る各通知書には、本件接待交際費及び本件会議費を必要経費又は課税仕入れに算入できないことについて、結論だけでなく、業務との関連性及び業務遂行上の必要性が確認できなかった事実やそのように判断した過程も具体的に記載されている。
ロ また、原処分庁は、請求人の総勘定元帳(以下「本件元帳」という。)に記載された本件接待交際費や本件会議費に係る各支出の存在自体を否定したわけではなく、当該各支出について、個別に必要経費該当性を判断し、その結果として、業務との関連性や業務遂行上の必要性において、請求人と見解を異にする判断をしたのであり、請求人の帳簿の記載自体を否認して処分を行ったわけではない。 |
イ 請求人は、本件調査に協力し、本件接待交際費とともに本件会議費の記載があるノート、本件接待交際費に係る領収証、宅配便の伝票、顧問契約書及びその他の資料を提示したにもかかわらず、原処分庁は、本件各更正処分等に係る各通知書に、本件元帳以外の資料の調査内容やその結果認定した事実、結果に至る判断過程及び業務との関連性を否定する理由等を記載していないのであるから、本件各更正処分等の理由の提示は、法の趣旨を没却した不十分なものである。
ロ また、青色申告に対する更正処分の理由付記制度の下では、帳簿の記載自体を否定して更正する場合、更正に係る勘定科目及び金額を示すだけでなく、更正をした根拠を、帳簿の記載以上の信ぴょう力のある資料により具体的に明示する必要があるところ、原処分庁は何らの資料の摘示も行わず、一律に請求人の帳簿その他の資料の記載を無視して否認しており、青色申告者に対する更正の理由付記の趣旨に反している。 |
(3) 争点3(本件妹は、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に当たるか否か。)について
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
|
所得税法第56条は、居住者と生計を一にする親族に対する対価の支払について必要経費に算入しない旨規定しているところ、以下のとおり、本件妹は、同条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に該当する。 請求人及び本件妹は、平成31年から令和3年まで(以下「本件各年」という。)、本件各家屋で同居していた。そして、本件各家屋の玄関、台所、風呂及びトイレはそれぞれ一つであり、請求人及び本件妹はこれらを共に使用していた。 請求人は、本件妹と家計費を別々に負担していた旨主張するが、電気、水道、ガスのメーターはそれぞれ一つであることなどからすると、証拠上、請求人と本件妹との日常の生活費における金銭面の区分は不明確である。したがって、請求人及び本件妹は日常生活の糧を共通にしていると推定されるから、本件妹は、請求人と生計を一にする親族に該当する。 本件妹が、■■■■でその夫とともに所帯を構えていることは、請求人と本件妹が生計を一にするか否かの判断に何ら関わりのない事情である。 |
以下のとおり、本件妹は、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に該当しない。 所得税法第56条は、その対象について、生計を一にする親族と規定しており、単なる同居親族というだけでは生計を一にする親族には該当しない。 本件妹は、■■■■においてその夫と結婚して所帯を構えていること、請求人と本件妹は、食費や家計費を別々に負担し、光熱費は本件妹が支払っていたことからして、本件妹は、所得税法第56条にいう生計を一にする親族に該当しない。 なお、請求人と本件妹が同居することとなったのは、本件妹が、いつまで日本で本件事業に従事できるかも不確定であったから、住居を構える煩雑さを考慮したものである。 |
(4) 争点4(本件各費用は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否か。)について
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
|
イ 法令解釈等について ある支出が必要経費として所得から控除されるためには、事業活動と直接の関連性を有し、かつ、業務の遂行上必要である支出であることが客観的に認められる必要があるというべきであり、納税者において、これらを裏付ける客観的証拠に基づいて立証しなければならない。 請求人が主張する東京高裁平成24年9月19日判決(以下「本件高裁判決」という。)は、本件とは前提を異にするから、請求人の主張は理由がない。 なお、原処分庁において、必要経費該当性について「業務との直接関連性」の有無のみでなく、業務の遂行上必要なものであるかどうかも併せて判断した結果、本件各費用は業務の遂行上必要なものではなかった。 ロ 本件接待交際費について 本件調査担当職員が請求人から提示を受けた本件元帳、日記帳及び接待交際費に係る領収証等の各資料からは、接待交際の相手方等が判明せず、仮に、接待交際の相手方が判明したものについても接待交際の目的や業務との関連性及び業務遂行上の必要性等を確認することができなかった。以下のとおり、本件接待交際費(別表5-1から5-3までの各金額)は、客観的にみて本件事業と直接の関連性を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であるとは認められないから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 (イ)ゴルフプレー代等 ゴルフプレー代は、一般的には趣味又はし好等に関する支出で家事費と認められるものであり、各種団体のゴルフコンペへの参加や顧問先等とのゴルフを通じた交流により、情報交換や顧問先等との信頼関係の醸成等の業務に有益なことがあると期待されるとしても、当該各種団体や顧問先等とゴルフをすることが、客観的にみて、業務の遂行上必要であったとまで認められるものではない。 (ロ)本件ロータリークラブ年会費等 ■■■■(以下「本件ロータリークラブ」という。)の入会金及び年会費等 本件ロータリークラブは、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成することなどを要綱とし、当該要綱に従い各奉仕活動を行っているのであるから、当該活動が本件事業と直接関係するものということはできず、本件事業の遂行上必要なものではない。仮に、請求人が顧客獲得を目的として本件ロータリークラブに入会し、実際に本件ロータリークラブの会員からの紹介等で顧客を獲得していたとしても、そのことは、本件ロータリークラブの会合等への参加や、会員と親睦を深めたこと等を契機として間接的、副次的に生じた効果の一つにすぎないから、本件ロータリークラブの入会金及び年会費等(別表5-1から5-3までの「区分」欄の「C」の各支出をいい、以下「本件ロータリークラブ年会費等」という。)は、請求人の業務の遂行上必要なものであると認めることはできない。 (ハ)備品購入費 本件調査担当職員は、本件調査の際、請求人から、請求人が接待交際費に計上した各備品(以下「本件各備品」という。)に係る領収証等の提示を受けておらず、本件各備品の購入者が本件妹であることや本件各備品の用途等が明らかでないことから、本件各備品が請求人の業務の遂行上必要なものであると認めることはできない。 (二)意見交換会に係る会費 ■■■■が平成31年1月24日に開催した、新年講演会・説明会・意見交換会(以下「本件講演会等」という。)の出席者名簿及び配席表には、請求人の名前が記載されておらず、また、請求人が当該意見交換会(以下「本件意見交換会」という。)の会費に係る領収証であると主張する領収証には、宛名やただし書の記載がなく、当該領収証が何の費用に係るものか確認できないため、請求人が本件講演会等に出席した事実は確認できない。 (ホ)餞別、祝い金等 上記イのとおり、客観的にみて本件事業と直接の関連性を持ち、かつ、業務の遂行上必要な費用であるとは認められない接待交際費は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 また、餞別、祝い金等(別表5-1から5-3までの「区分」欄の「F」の各支出)のうち、■■■■氏(以下「■■■■」という。)に対する祝い金(別表5-2の順号3の支出をいい、以下「本件祝い金」という。)については、本件調査の際、領収証等の提示を受けておらず、請求人と■■■■との関係性等も明らかでないため、本件祝い金が本件事業と直接の関連を持ち、業務の遂行上必要なものであるとは認められない。 (ヘ)その他の接待交際費 ある支出必要経費に該当するか否かの判断は、請求人の業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、個々の支出ごとに、社会通念に照らして客観的に行われるべきである。ところが、請求人は、本件接待交際費のうち、上記(イ)から(ホ)以外のもの(別表5-1から5-3までの「区分」欄の「F」(上記■■■■を除く。)、「G」及び「H」の各支出)について、贈答等に係る支出の相手先が顧問先等であることを主張するのみで、贈答先、請求人と贈答先の関係、贈答の趣旨及び目的等の接待交際に関する基本要素について明らかにしていないのであるから、当該支出が業務の遂行上必要なものであるか否か確認できないのは当然のことであり、ましてこれらを明らかにすることが贈答という行為の性質上無理であるなどとは認められない。 また、請求人が顧客に贈答した旨主張するマスクに係る費用は、単に請求人のマスク購入費用であることが認められ、取引の相手先が顧客であったとしても接待交際費とは認められない。 ハ 本件会議費について 本件元帳には、飲食店名等が記載されているだけで会議の出席者や会議の内容等が記載されていない。請求人は、本件調査の際、本件調査担当職員から、本件会議費に係る会議の出席者や内容等を明らかにするよう繰り返し求められたのに回答しなかったから、必要経費該当性について相応の立証をしていない。したがって、本件会議費は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 二 本件給与賃金について 上記(3)の「原処分庁」欄のとおり、本件妹は、所得税法第56条にいう「居住者と生計を一にする親族」に該当し、本件給与賃金の額は、請求人と生計を一にする親族への対価の支払であると認められるため、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 請求人は、青色事業専従者給与に関する届出書を提出していないため、所得税法第57条《事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等》の規定を適用することもできない。 ホ 本件地代家賃及び本件支払手数料について 上記(3)の「原処分庁」欄のとおり本件妹は、所得税法第56条にいう「居住者と生計を一にする親族」に該当するところ、本件各年において、請求人が本件妹以外の従業員に対し社宅の提供や家賃の補助を行っていた事実もないのであるから、実態として、請求人は単に請求人自宅に本件妹を同居させていたにすぎない。 よって、本件地代家賃及び本件支払手数料(以下「本件地代家賃等」という。)については、請求人が単に自宅に係る家賃、管理料及び保証料を支払ったにすぎないのであり、請求人の業務に関連して支出した経費とは認められず、家事費に該当するから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。 |
イ 法令解釈等について 原処分庁は、「事業との直接関連性」を必要経費該当性の要件であると主張するが、本件高裁判決からすると、必要経費該当性の要件として「事業との直接関連性」を必要とする法令解釈は誤っており、事業所得を生ずべき業務の遂行上必要であれば、必要経費該当性は認められる。 ロ 本件接待交際費について 必要経費に該当する支出の範囲は、業種という類型のみならず、各人のビジネスモデルに応じて異なるところ、本件接待交際費は、以下のとおり、事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべきである。 必要経費該当性を含む所得金額の立証責任は原処分庁にあるから、原処分庁は贈答等のために支出した金額が必要経費に該当しない理由を明らかにすべきである。 (イ)ゴルフプレー代等 本件事業の特性上、顧客を獲得するためには地道な営業活動が必須であり、請求人は、税理士会や各種団体のゴルフコンペに積極的に参加し、情報交換や顧客獲得につながる可能性のある者とのゴルフを通じた交流を行うことで、顧客の紹介の機会を増やし、売上拡大に繋げてきた。 また、請求人は、ゴルフを通じて交流を図ることを事業発展の一環として位置付けており、■■■■には、本件事業の■■■■を記念して、取引先や関係先会社団体の関係者を招待し、ゴルフ大会(以下「本件ゴルフ大会」という。)を開催した。 そもそも、様々な業界において、ゴルフがビジネス上の交流を図る場であることは公知の事実であり、請求人が必要経費に算入したゴルフのプレー代、ゴルフ場の年会費及びゴルフコンペに係る費用等(別表5-1から5-3までの「区分」欄の「A」の各支出をいい、以下、これらを併せて「本件ゴルフプレー代等」という。)並びに本件ゴルフ大会に係る費用(別表5-1の「区分」欄の「B」の各支出)は、業務との関連性を有することが明らかである。 (ロ)本件ロータリークラブ年会費等 本件ロータリークラブへの入会は、今後の事務所の発展のために■■■■より商圏の大きい■■■■での顧客獲得を目的とするものであり、実際に本件ロータリークラブへの入会後顧客を獲得することができており、売上げの拡大に繋がっているから本件ロータリークラブ年会費等は業務に関連する費用である。 (ハ)備品購入費 本件各備品に係る支出(別表5-3の「区分」欄の「D」の支出)は、本件事業に係る事務所(以下「本件事務所」という。)に備え付けている備品・什器類に係る支出を誤って接待交際費として計上したものであり、購入者の名前が本件妹となっているのは、本件各備品の購入時に請求人が会員カードを持っておらず、一緒にいた本件妹の会員カードを提示したためである。 本件各備品のうち、3段チェストという品名のものは、本件事務所内に設置しており、TELベンチという品名のものは、本件事務所の入口横に設置している。 (二)意見交換会に係る会費 請求人は、税理士会の会員及び税務署の職員が参加する本件意見交換会に参加したのであり、その会費(別表5-1の「区分」欄の「E」の支出)が税理士の業務遂行上必要な経費であることは明らかである。 本件講演会等の配席表には座席指定の特定の者の名前しか記載されていないから、配席表に名前がないことをもって、請求人が本件講演会等に参加していないことにはならない。 また、原処分庁が、本件意見交換会の会費に係る領収証について、どのように解釈し、業務関連性を否定しているのか明らかでない。 (ホ)餞別、祝い金等 一般的に、餞別や祝い金等は、親族や友人に関連するもの以外であれば事業と関係なく支出することは考え難い性質のものであるから、支出自体が認められる場合、原処分庁が業務と関係ないことを立証しない限りは、必要経費該当性が認められる。 また、請求人は、■■■■が代表取締役を務める会社との間で、同社と関連する■■■■3社の経営状況等に関する助言等を行う契約を締結しており、■■■■は請求人の重要な顧客である。よって、本件祝い金は本件事業に関連する者に対する社会通念上必要な支出である。 (ヘ)その他の接待交際費 請求人は、顧客先訪問の際の手土産、関係先の親族の結婚祝いや香典及び開店祝いに加え、盆暮れの中元、歳暮などの贈答及びバレンタインデーのチョコレート等、細かな気遣いを行い、情誼を重んじることで顧客の歓心を買い、売上促進に繋げた。 そもそも、贈答用の商品を誰に渡したか、贈答先は取引先か、贈答によりどのように売上拡大に貢献したか等を逐一明らかにすることは贈答という行為の性質上無理であり、このような解釈は不当であるし、請求人は、帳簿上贈答品であることを明記し、領収証等も保存しているのでのであるから、支出自体に疑わしい点は無く、原処分庁が業務と関連のない費用であることを立証できない限りは認められるべきであり、業務関連性は認められる。 また、接待交際費の支出の目的は、顧客の歓心を買い親密度を深めて今後の取引の円滑な遂行を図ることにあり、コロナ禍において贈答品としてマスクを購入することはその目的にかなうものである。 ハ 本件会議費について 本件会議費は、請求人が顧客などの関係先訪問の前後に、飲食店等で打合せの準備やその続きを行うことを兼ねて食事等を行った際に生じた費用であり、顧客との打合せに伴うものであるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。 二 本件給与賃金について 上記(3)の「請求人」欄のとおり、本件妹は、所得税法第56条にいう「居住者と生計を一にする親族」に該当せず、本件給与賃金の額は、本件妹の正当な労働 of の対価であるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。 ホ 本件地代家賃等について 本件地代家賃等は、■■■■から本件事業に従事するために来日した従業員である本件妹のために、事業主である請求人が、住居を準備しその住居に係る費用を負担したものであり、業務上必要な支出であるから、事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。 また、上記(3)の「請求人」欄のとおり、本件妹が、どのくらいの期間本件事業に従事できるか不確定であったことから、日本で新たに住居を賃借する手間や本件妹の娘の通学の便宜等も考えた結果、請求人と本件妹は本件各家屋で同居していたのである。 |
(5) 争点5(本件各取引費用は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か。)について
| 原処分庁 | 請求人 |
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上記(4)の「原処分庁」欄と同様の理由により、本件各取引費用は必要経費と認められないから、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない。 令和2年課税期間の消費税等の課税仕入れに算入されていた275,000円はゴルフ会員権の名義書換料であり、請求人が事業者として他の者から資産を譲り受け、又は役務の提供を受けた対価に該当しない。 |
上記(4)の「請求人」欄と同様の理由から、本件各取引費用は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当する。 請求人が令和2年課税期間の消費税等の課税仕入れに算入した名義書換料は顧客等との親交を深めるための費用であり、業務との関連性がある。 |
4 当審判所の判断
(1) 争点1(本件調査の手続に本件各更正処分等を取り消すべき違法があるか否か。)について
イ 法令解釈
(イ) 通則法は、第7章の2《国税の調査》において、国税の調査の際に必要とされる手続を規定しているが、同章の規定に反する手続が課税処分の取消事由となる旨を定めた規定はなく、また、調査手続に瑕疵があるというだけで納税者が本来支払うべき国税の支払義務を免れることは、租税公平主義の観点からも問題があると考えられるから、調査手続に単なる違法があるだけでは課税処分の取消事由とはならないものと解される。
もっとも、通則法は、同法第24条の規定による更正処分、同法第25条《決定》の規定による決定処分、同法第26条《再更正》の規定による再更正処分等について、いずれも「調査により」行う旨規定しているから、課税処分が何らの調査なしに行われたような場合には、課税処分の取消事由となるものと解される。そして、これには、調査を全く欠く場合のみならず、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続に重大な違法があり、調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合も含まれるものと解されるところ、ここにいう重大な違法とは、証拠資料の収集手続が刑罰法規に触れ、公序良俗に反し又は社会通念上相当の限度を超えて濫用にわたるなどの場合をいうものと解するのが相当である。
(ロ) 通則法第74条の11第2項に基づく説明は、更正決定等の前段階の手続であり、更正決定等を行う際には、更正通知書において行政手続法第14条に基づく理由を提示することが予定されているところ、通則法第74条の11第2項が規定された趣旨が、税務当局の納税者に対する説明責任を強化するものであるということからすれば、調査終了時の説明は、更正決定等の理由の提示と同程度のものが要求されるものではないというべきであり、税務当局が行った説明の適否は、上記の趣旨を満たすか否かという観点から判断すべきである。
ロ 認定事実
原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
(イ) 本件調査担当職員は、令和4年11月2日、本件調査を開始し、本件事務所において、請求人と面接し、接待交際費、会議費及び本件妹に対する給与賃金の支払状況等について確認するとともに、同日、請求人の承諾を得て、本件事業に係る本件各年分の本件元帳を留め置いた。
(ロ) 本件調査担当職員は、本件各年分の本件元帳のうち、接待交際費の科目について、日付、摘要欄に記載された事項及び支払額を一覧にして、「接待の目的・必要性」欄、「相手方の氏名及び贈答品」欄及び「相手方との関係性」欄を追加した表(以下「本件交際費一覧表」という。)を作成し、令和5年4月26日、同表を請求人に手交し、接待の目的・必要性、相手方の氏名等を記入するよう依頼した。請求人は、体調が悪く、すぐには作成できないものの、手帳に相手先等を全て記載しており、ゴールデンウィーク明けには回答できる旨述べた。
(ハ) 請求人は、多忙や体調不良等を理由に、本件交際費一覧表への記入をせず、令和5年7月4日には、本件調査担当職員に対し、本件交際費一覧表への記入が完成しておらず、範囲を絞ってほしい旨を申し立てた。
(ニ) 上記1の(4)のロの(ロ)のとおり、請求人の税務代理人に選任された本件税理士は、令和5年8月1日、本件調査担当職員に対し、本件交際費一覧表への回答は、1年分であったとしても請求人本人に作業させるのは無理である旨、接待交際費の領収証等については、請求人が提示するので見に来てほしいと言っている旨等を述べた。
(ホ) 本件調査担当職員は、上記(二)の申述を受け、令和5年9月4日、同月13日及び同年10月23日、本件事務所において、本件税理士の同席のもと、請求人と面接し、請求人から本件接待交際費に係る領収証などの提示を受け、それらをデジタルカメラで撮影した。
本件調査担当職員は、上記(ハ)の申述を受け、まずは令和3年1月から同年4月までの78件について接待の目的・必要性、相手方の氏名等について聴取しながら解明する方針とし、令和5年10月23日、本件交際費一覧表のうち上記期間の78件のみを記載した表に、請求人から聴取した内容を手書きし、署に戻った後、手書きした内容をエクセルファイルに入力して一覧表を作成した(以下、当該一覧表を「本件回答一覧表」という。)。また、本件調査担当職員は、別表5-3の順号10、34、44、54及び64ほか1件の相手方等について、請求人が分からない旨回答したため、解明するよう依頼した。
(ヘ) 本件調査担当職員は、令和5年11月16日、本件事務所において、本件税理士の同席のもと、請求人と面接した。本件調査担当職員が、同年10月23日に解明を依頼した事項について尋ねたところ、請求人は、相手方等は分からない旨回答したため、同年11月中の回答を依頼するとともに、本件回答一覧表を請求人に手交し、訂正及び追加すべき事項があれば併せて回答するよう依頼した。
請求人が、令和5年11月16日の面接の際、会議費について、顧客等と食事やコーヒーを飲みながら打合せをした際の支払である旨等を述べたため、本件調査担当職員は、請求人に対し、本件各年分の本件元帳のうち、会議費の科目について、日付、「摘要」欄に記載された事項及び支払額を一覧にして、「出席者の氏名」欄、「出席者の住所・連絡先」欄、「出席者との関係性」欄及び「会議の内容・必要性」欄を追加した表(以下「本件会議費一覧表」という。)を手交し、会議の出席者や会議の内容等を記入するよう依頼した。
(ト) 本件調査担当職員は、令和5年12月21日、本件税理士と面接し、本件回答一覧表の確認結果について尋ねると、本件税理士が、自身も請求人も資料を受け取っていない旨述べたため、同一覧表を再度手交した。また、本件調査担当職員が、会議費についても接待交際費と同様の解明をしてほしい旨述べると、本件税理士は、本件調査の方法に問題があるために本件調査に時間を要していると思われる旨述べた。
(チ) 本件調査担当職員は、令和6年4月2日、本件税理士と面接し、本件元帳に接待交際費として記載されている支出のうち、接待の相手方について、請求人が売上先である旨や仕事紹介のお礼である旨等を回答した23件について、本件元帳中の売上先であることが分かる部分を示すなどして説明するよう依頼し、回答欄を設けた一覧表を手交した。
(リ) 本件税理士は、令和6年5月15日及び同月24日、本件調査担当職員に対し、上記(チ)の一覧表に、具体的な企業名や、■■■■等と記入したもの及び本件元帳中の売上先名が記載された部分の写しを提出した。同日、本件調査担当職員が、本件税理士に対し、既に提出されたもの以外に本件元帳の写しを提出することはできないということであるか尋ねたところ、本件税理士は、■■■■の関係はそもそも取引先ではないため提出できる書類はなく、それ以外も提出できる書類はないということでよい旨述べた。
(ヌ) 本件調査担当職員は、令和6年6月18日、本件税理士の事務所において、請求人及び本件税理士と面接し、通則法第74条の11第2項に規定する調査結果の説明として、更正すべきであると認めた額及びその理由について、税目ごとに説明した(例えば、本件接待交際費及び本件会議費については、事業に係る業務との関連性が明らかではなく業務の遂行上必要な支出と認められないためである旨を、本件給与賃金については、請求人と生計を一にする本件妹への対価の支払であり、また青色事業専従者給与に係る届出書は提出していないためである旨を説明した。)。
本件調査担当職員が、「修正申告等について」と題する書面を手交したのに対し、請求人は、修正申告書を提出する意思がないことを理由に、当該書面を受領した旨の署名をすることは拒否した。
ハ 検討及び請求人の主張について
(イ) 請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のイのとおり、本件調査に協力し、業務との関連性について説明し、資料を提示したのに、原処分庁は、請求人の説明や証拠資料について一切考慮することなく、本件各更正処分等をしたのであるから、税務調査の裁量権の範囲を逸脱しており、本件調査の手続は違法である旨主張する。
しかしながら、本件調査担当職員は、本件交際費一覧表及び本件会議費一覧表を請求人に手交して回答を求めたものの、請求人が本件交際費一覧表に記入しないため、請求人から聴取した内容を整理して本件回答一覧表を作成し、請求人の求めに応じて本件事務所で本件接待交際費の領収証などを確認し、特定の費用に関して説明や資料の提出を具体的に求めるなど、必要経費の把握に向けた働き掛けをしていたということができる(現に、原処分庁は、複数の費目について、本件調査における請求人の説明も踏まえて必要経費該当性を肯定した。)。したがって、本件調査に税務調査の裁量権の範囲を逸脱したなどという事情はないから、本件調査の手続に違法はないというべきであって、本件各更正処分等の取消事由となるような重大な違法がないことも明らかである。
請求人は、本件会議費一覧表の手交を受けたことがない旨主張するが、令和5年11月16日付の本件調査担当職員作成に係る調査報告書には、本件会議費一覧表を請求人に手交した旨記載され、同一覧表が添付されているところ、請求人が、既に本件交際費一覧表への記入が求められていた状況において、会議費について聴取された際に、本件会議費一覧表が手交され記入を求められたという経緯は自然である上、上記ロの(ト)のとおり、本件税理士は、同年12月21日の面接において、本件回答一覧表は手交されていない旨述べた一方、本件会議費一覧表についてはそのように述べたとは認められないことをも踏まえれば、請求人が、本件会議費一覧表の手交を受け、記入を求められた事実があったと認めるのが相当である。
したがって、請求人の上記主張は理由がない。
(ロ) 請求人は、上記3の(1)の「請求人」欄のロのとおり、原処分庁は、請求人が示した証拠資料起について、どのような事実認定を行い、どのような法令解釈によって結論に至ったのかについての説明をしておらず、必要な調査結果の説明がされていないから調査手続には本件各更正処分等を取り消すべき違法がある旨主張する。
しかしながら、上記ロの(ヌ)のとおり、本件調査担当職員は、請求人及び本件税理士に対し、更正すべきであると認めた額及びその理由の概要について、税目ごとに説明したところ、請求人自身が税理士であり、上記説明を理解する能力を有しており、また、代理人である本件税理士も立ち会っていたのであるから、上記説明の内容を踏まえれば、請求人は、修正申告をするか否かの判断をすることができたというべきである。したがって、本件調査の結果説明は、通則法第74条の11第2項の要請を満たしているといえる。
よって、請求人の主張は理由がない。
(ハ) 以上のことから、本件調査に係る手続の違法に関する請求人の主張は採用することができず、本件調査に係る調査手続に本件各更正処分等の取消事由となる違法はない。
(2) 争点2(本件各更更正処分等の理由の提示に不備があるか否か。)について
イ 法令解釈
(イ) 行政手続法第14条第1項本文が、不利益処分をする場合に同時にその理由を名宛人に示さなければならないとしている趣旨は、名宛人に直接に義務を課し又はその権利を制限するという不利益処分の性質に鑑み、行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、処分の理由を名宛人に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たことにあるから、当該処分の理由が、不利益処分の根拠について、上記趣旨を充足する程度に具体的に明示するものであれば、同項本文の要求する理由の提示として不備はないものと解するのが相当である。
(ロ) 所得税法第155条第2項が青色申告に係る所得税について更正をする場合には更正通知書に更正の理由を付記すべきものとしているのは、法が、青色申告制度を採用し、青色申告に係る所得の計算については、それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上、その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨に鑑み、原処分庁の判断の慎重、合理性を担保してその恣意を抑制するとともに、更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たことにあるというべきである。
したがって、帳簿書類の記載自体を否認して更正する場合、更正通知書に付記すべき理由としては、単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけでなく、そのような更正をした根拠を帳簿書類の記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが、帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては、当該更正は納税者による帳簿の記載を覆すものではないから、更正通知書記載の更正の理由が、そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示するものでないとしても、更正の根拠を上記の原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないと解するのが相当である。
ロ 検討及び請求人の主張について
(イ) 請求人は、上記3の(2)の「請求人」欄のイのとおり、原処分庁が、資料の調査内容やその結果認定した事実、結果に至る判断過程及び業務との関連性を否定する理由等を記載していない以上、本件各更正処分等の理由の提示は、法の趣旨を没却した不十分なものである旨主張する。
しかしながら、本件各更正処分等に係る各通知書には、上記1の(4)のハの(イ)のとおり、本件各費用に係る各支出の年月日及び金額等、原処分庁が認定した事実の要点及び本件各費用を必要経費に算入することはできないなどと評価した理由、それを基に計算した税額及び根拠法令等が具体的に記載されており、請求人において、いかなる事実関係に基づき、いかなる法規を適用して当該処分がなされたのかを了知し得るものであったといえる。そのため、本件各更正処分等に係る各通知書の理由付記については、原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものといえるから、法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないというべきである。
(ロ) 請求人は、上記3の(2)の「請求人」欄のロのとおり、青色申告に対する更正処分の理由付記制度の下では、帳簿の記載自体を否定して更正する場合、更正に係る勘定科目及び金額を示すだけでな、更正をした根拠を、帳簿の記載以上の信ぴょう力のある資料により具体的に明示する必要があるところ、原処分庁は何らの資料の摘示も行わず、一律に請求人の帳簿その他の資料の記載を無視して否認しており、青色申告者に対する更正処分の理由付記の趣旨に反している旨主張する。
しかしながら、原処分庁は、上記(1)のロのとおり、課税処分の基礎となる証拠資料として請求人が作成した本件元帳や領収証等を収集し、本件各費用について、本件元帳に記載された支出があったこと自体は前提とした上で、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないなどと評価したものであって、本件各更正処分等は、本件元帳の記載自体を否定してされたものではない。
したがって、上記イの(ロ)のとおり、本件各更正処分等の各通知書に記載の理由付記が帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示するものでないとしても、上記(イ)のとおり、当該処分の理由は、更正の根拠を原処分庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨目的を充足する程度に具体的に明示するものと認められるから、法の要求する更正理由の付記として欠けることはないというべきである。
(ハ) 以上のことから、本件各更正処分等に係る各通知書の理由付記に不備はなく、この点に関する請求人の主張は理由がない。
(3) 争点3(本件妹は、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に当たるか否か。)について
本件では、本件各費用を必要経費に算入することができるかについて争いがあるところ、本件各費用のうち、本件給与賃金については、本件妹が、所得税法第56条に規定する「居住者と生計を一にする親族」に当たるか否かについて争いがあるため、まず、この点について検討する。
イ 法令解釈
所得税法第56条は、居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が、その居住者の営む事業に従事したこと等により、その事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額を居住者の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入しない旨規定している。
ここにおける「生計を一にする」とは、同一の生活共同体に属して、日常生活の糧を共通にしていることをいうものと解される。所得税基本通達2-47(2)は、親族が同一の家屋に起居している場合には、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められる場合を除き、これらの親族は納税者と生計を一にするものとする旨定めているところ、これは、親族が納税者と同一の家屋に起居している場合、通常は日常生活の糧を共通にしているものと考えられることから、両者間で日常の生活費における金銭面の区別が不明確である場合は、事実上の推定が働くことを注意的に明らかにしたものと解することができ、当審判所においても相当と認められる。
この場合において、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められるためには、少なくとも家事上の共通経費について実費の精算が行われ、家事上の支出に関して親族間における債権債務の発生及び決済の状況が明らかにされていることが必要であるというべきである。
ロ 認定事実
請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
(イ) 本件妹は、平成31年3月12日に来日し、■■■■で請求人及び本件妹の子と同居し、令和2年11月18日、上記両名と共に、■■■■から■■■■へ転居した。
(ロ) 本件各家屋の間取りは、いずれも3LDKであり、台所、浴室及びトイレはいずれも一つであり、電気・ガス・水道のメーターもそれぞれ一つであった。また、■■■■の水道料金は、本件妹名義の銀行口座から振り込まれていた。
ハ 検討
平成31年3月12日から現在に至るまで、請求人と本件妹は同一の家屋に起居していることから、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められるような事情があるか否かについて検討する。
この点、請求人は、上記3の(3)の「請求人」欄のとおり、食費や家計費については、請求人と本件妹が別々に負担しており、本件各家屋の光熱費については、本件妹が負担していた旨主張するものの、■■■■の水道料金が本件妹の銀行口座から振り込まれていたこと以外に上記主張を裏付ける資料は見当たらない。そして、水道料金の支払を本件妹が負担していたとしても、それは生活費の一部を本件妹が負担していたというにすぎず、そのことをもって請求人と本件妹との間で日常の生活費における金銭面の区別が明確になっていたとはいえない。また、当審判所の調査及び審理の結果によっても、請求人と本件妹との間で、家事上の共通経費について実費の精算が行われ、家事上の支出に関して債権債務の発生及び決済の状況が明らかにされていることを裏付ける事実は認められない。
以上のことから、請求人と本件妹との間に、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められるような事情は見当たらないから、本件妹は、請求人と「生計を一にする」親族に当たるものと事実上推定される。
ニ 請求人の主張について
請求人は、上記3の(3)の「請求人」欄のとおり、本件妹は、■■■■において夫とともに所帯を構えており、いつまで日本で本件事業に従事できるか不確定であったことから、住居を構える煩雑さを考慮し、本件各家屋で請求人と同居することとなったものであり、単なる同居親族にすぎず、生計を一にする親族には該当しない旨主張する。
しかしながら、請求人と本件妹との間で家事上の共通経費の精算が行われていることや、本件妹が■■■■にいる夫と生計を一にすることを示す証拠は見当たらないのであるから、請求人の上記主張を踏まえても、請求人と本件妹との間に、明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められるような事情は見当たらず、上記の推定がされることに変わりがない。
ホ 小括
したがって、本件妹は、請求人と「生計を一にする」親族に当たると認めるのが相当である。
(4) 争点4(本件各費用は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができるか否か。)起について
イ 法令解釈
(イ) 所得税法第37条第1項に規定する「販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用」とは、当該支出が所得を生ずべき業務と直接関連を持ち、かつ、業務の遂行上必要なものに限られると解するのが相当である。
そして、その判断は、単に業務を行う者の主観的な動機・判断によるのではなく、当該業務の内容や、当該支出の趣旨・目的等の諸般の事情を総合的に考慮し、社会通念に照らして客観的に行わなければならないと解される。
(ロ) 所得税法第45条第1項第1号及び所得税法施行令第96条の各規定によれば、家事関連費については、①家事関連費の主たる部分が事業所得を生ずべき業務の遂行上必要なものであり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合における当該部分に相当する経費、又は②青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者に係る家事関連費のうち、取引の記録等に基づいて、事業所得を生ずべき業務の遂行上直接必要であったことが明らかにされる部分の金額に相当する経費に限って必要経費に算入される。
(ハ) 事業所得の金額は、総収入金額からこれに対応する必要経費を控除して算出するものであるから、必要経費の存否及びその額についても、その立証責任は原処分庁にあるということができる。もっとも、立証責任は、裁決をするに当たり、主要事実の存否につき真偽不明となった場面で機能するものにすぎず、審理手続の終結までに、立証責任を負担しない納税者において、必要経費に関し何らの説明や証拠の提出をしなくても不利益を被ることはないということを意味するものではない。
そして、必要経費の存否及びその額は、所得を算定する上での減算要素であって納税者に有利に働く事情である上、納税者の支配領域内の出来事であるから、必要経費該当性について争いのある支出については、納税者において、当該具体的支出の内容を明らかにし、必要経費該当性について相応の説明や証拠の提出をしない場合には、審理手続の終結までに現れた資料、調査及び審理の結果認められる種々の事情次第では、必要経費に該当しないことが事実上推定されることがあるものというべきである。
ロ 本件接待交際費について
(イ) はじめに
別表5-1から5-3までは、請求人が本件各年分の接待交際費として本件元帳に記載したもののうち原処分庁により必要経費該当性を否認されたものを年分ごとに日付順に記載(令和3年分において請求人が決算修正で「会議費」から「接待交際費」に振り替えたものについては、別表5-3の末尾に日付順に記載)し、請求人が本件元帳に記載した「日付」欄、「支払先」欄及び「金額」欄に加えて当審判所が当該支出を分類するための「区分」欄を記載したものである。なお、原処分関係資料によれば、請求人は、本件元帳に記載した本件各年分の接待交際費を含む必要経費と主張する支出に関する領収証の一部を原処分庁に提示若しくは提出したことが認められる。
(ロ) 本件ゴルフプレー代等
A 認定事実
(A) 請求人は、本件各年において、合計200回を超えるゴルフプレーをしていたところ、本件調査において提示された本件ゴルフプレー代等に係る領収証のほぼ全てが請求人個人宛で、請求書のうち利用人数の記載があるものの多くには1名である旨記載され、数量の記載があるものの大半には、数量の欄に「1」と記載されていた。請求書のうち、2名又は3名で利用した旨記載されたものも数通あるが、請求人以外の氏名の記載が確認できるものはほとんどない。なお、請求人以外の個人名が宛名となっている領収証も散見される。
(B) 本件元帳には、本件ゴルフプレー代等について、支払日、ゴルフ場名や支払金額が記載されているが、接待の相手方、本件事業との関連性等についての記載は見当たらない。
(C) 請求人は、令和5年11月16日、本件調査担当職員から、ゴルフの同伴者について尋ねられたのに対し、ゴルフのスコアカードの一部を提示した。
(D) 請求人は、本件ゴルフプレー代等として、別表5-1から5-3までの「区分」欄の「A」の各金額を、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
B 検討及び請求人の主張について
請求人は、顧客獲得に向けた営業活動や同業者との情報交換等のために、ゴルフを通じた交流が必要であるとして、本件ゴルフプレー代等を必要経費に算入することができる旨主張する。
しかしながら、そもそも、上記Aの(B)のとおり、本件元帳には、接待の相手方が記載されていない。また、上記Aの(A)のとおり、請求人が支払ったゴルフプレー代等のは、その大半が、請求人のみに係る費用であったと認められるのであり、同伴者の有無が不明である。請求書のうち請求人以外の氏名が記載されているもの(上記Aの(A))や、同伴者の氏名が説明されているもの(同(C))についても、当該ゴルフプレーが、本件事業と直接の関連を持ち、本件事業の遂行上必要であることについて、請求人において具体的な説明や資料の提出をしていないことをも併せ考えれば、本件ゴルフプレー代等は、必要経費に該当しないことが事実上推定される。
以上によれば、本件ゴルフプレー代等は、本件各年分の本件事業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
(ハ) 本件ゴルフ大会に係る費用について
A 認定事実
(A) 請求人は、■■■■、本件事業の■■■■を記念して、本件ゴルフ大会を開催した。会費は、1名につきプレー代・昼食代1万円、パーティー費用2,500円、参加費3,000円であった。
(B) 請求人が、本件ゴルフ大会の参加者であるとして、当審判所に提出した資料には、請求人を含め55名の氏名、会社名及び役職の記載があり、弁護士が6名、公認会計士・税理士が5名、金融機関関係者が2社8名、■■■■が3名などとなっており、本件元帳から請求人の取引先(売上先)であると認められる参加者は10名程度であった。請求人は、本件ゴルフ大会の開催に際して、参加した17企業等、参加しなかった6企業等から、協賛金等を受領した。
(C) 請求人は、本件ゴルフ大会に係る費用として、別表5-1の「区分」欄の「B」(同表の順号269から272まで、同294及び295)の各金額を、令和元年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
B 検討及び請求人の主張について
請求人は、ゴルフを通じて交流を図ることを事業発展の一環として位置付けているとして、本件ゴルフ大会に係る費用を必要経費に算入することができる旨主張する。
上記Aのとおり、本件ゴルフ大会は、本件事業の■■■■を記念して開催されたものであり、本件事業の取引先関係者が出席し、開催に際して請求人は協賛金等を受領している。しかしながら、本件ゴルフ大会の参加者のうち、取引先であると認められる者は10名程度にすぎず、参加者の大半は本件事業との関係が不明であることや、本件事業が税理士業及び行政書士業であり、ゴルフとは直接関係があるとは直ちにはいえないことを考慮すれば、本件ゴルフ大会が本件事業と直接の関連を持つとは評価し難い。また、本件事業の性質・内容に照らすと、請求人の主観的な意図はともかく、客観的にみれば、本件事業の遂行上、本件ゴルフ大会を開催しなければならない必要性があるとも認められない。したがって、請求人の主張を踏まえても、本件ゴルフ大会に係る費用は、本件事業と直接の関連を持たず、本件事業の遂行上必要なものではないと言わざるを得ない。
以上によれば、本件ゴルフ大会に係る費用は、令和元年分の本件事業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
(ニ) 本件ロータリークラブ年会費等について
A 認定事実
(A) 請求人は、本件ロータリークラブ年会費等として、別表5-1から5-3までの「区分」欄の「C」(別表5-1の順号39から43まで、同197、別表5-2の順号8から10まで、同117から119まで、別表5-3の順号3、同166から168まで及び同361)の各金額を本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
(B) 本件ロータリークラブの綱領には、要旨、次のとおり記載されている。
ロータリーの綱領は、有益な事業の基礎として奉仕の理想を鼓吹し、これを育成し、特に次の各項を鼓吹育成することにある。
第1 奉仕の機会として知り合いを広めること。
第2 事業及び専門職務の道徳的水準を高めること。あらゆる有用な業務は尊重されるべきであるという認識を深めること。そしてロータリアン各自が、業務を通じて社会に奉仕するために、その業務を品位あらしめること。
第3 ロータリアン全てが、その個人生活、事業生活及び社会生活に常に奉仕の理想を適用すること。
第4 奉仕の理想に結ばれた、事業と専門職務に携わる人の世界的親交によって、国際間の理解と親善と平和を推進すること。
B 検討及び請求人の主張について
請求人は、本件ロータリークラブへの入会は■■■■での顧客獲得を目的とするものであるなどとして、本件ロータリークラブ年会費等を必要経費に算入することができる旨主張する。
本件ロータリークラブは、上記Aの(B)のとおり綱領を定めており、当該綱領に従って、各種の奉仕活動を行うとともに、会員同士の親睦を深めたり、講演や会話を通じて教養を高めたりするなどの活動をしていたものと認められるのであって、いずれも營利性、有償性を有しないことや、請求人がこれらの活動を行うことにより報酬を得ていた事情も見当たらないことからすると、本件ロータリークラブの活動のために支出する本件ロータリークラブ年会費等は、税理士又は行政書士としての本件事業と直接関連を持ち、本件事業の遂行上必要なものであるということはできない。請求人が本件ロータリークラブに加入した主たる動機が、本件ロータリークラブの各会員と親睦を深めることにより顧客獲得につながり得ると考えたことにあり、実際に売上げの拡大につながっていたとしても、それは、本件ロータリークラブ年会費等を支出したことによる間接的、副次的に生ずる効果にすぎないとみるのが相当である。
したがって、本件ロータリークラブ年会費等は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
(ホ) 本件各備品について
A 認定事実
(A) 請求人は、本件妹が令和3年10月15日に、■■■■(以下「■■■■」という。)において本件各備品を購入した費用として、別表5-3の「区分」欄の「D」(同表の順号330)の金額を令和3年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
(B) 本件各備品に係る■■■■作成の「納品書【領収書】」と題する書類には、令和3年10月15日に購入した商品名として「3段チェスト」(品番5215163)と「TELベンチ」(品番5215103)が記載されている。他方、■■■■作成の「注文請書(正)」と題する書類では、同日に購入された商品は「3段チェスト」(品番5215163)、「コンソール」(品番5215163)及び「フットスツール」(品番5215103)である旨、「3段チェスト」及び「コンソール」は同月21日に本件事務所に配達された旨並びに「フットスツール」は同月15日に購入者が持ち帰った旨記載されている。
(C) 請求人は、本件各備品のうち、3段チェスト(上記(B)の「注文請書(正)」と題する書類に記載の「3段チェスト」と同じもの。以下「本件3段チェスト」という。)を本件事務所内に、TELベンチ(上記(B)の「注文請書(正)」と題する書類に記載の「コンソール」と同じもの。以下「本件TELベンチ」という。)を本件事務所の入口横に、それぞれ設置し、使用している。
(D) 本件各備品のうち、本件3段チェスト及び本件TELベンチの購入金額は、別表6(品番5215163に係るもの)のとおり、合計90,910円(税込価額100,001円)である。
B 検討及び当事者の主張について
上記Aの(B)及び(C)のとおり、本件3段チェスト及び本件TELベンチは本件事務所に配達され、本件3段チェストは本件事務所内に、本件TELベンチは本件事務所の入口横にそれぞれ設置され、使用されていることからすると、本件3段チェスト及び本件TELベンチは、本件事務所の備品として本件事業を遂行するために用いられていると評価できる。そうすると、本件3段チェスト及び本件TELベンチの購入費用は、客観的にみて本件事業と直接関連を持ち、本件事業の遂行上必要なものであると認められる。なお、原処分庁は、上記の各備品について、購入者が本件妹であることやその用途等が明らかでない旨主張するのみであり、本件事業との直接関連性が認められないことについての立証を果たしているとはいえない。
他方、上記Aの(B)のフットスツールについては、本件3段チェスト及び本件TELベンチとは異なり、購入者が持ち帰ったとされているため、本件事務所に設置されていないことがうかがわれること、請求人は、当該フットスツールを本件事務所に設置していることに関して説明をせず、これを示す証拠も提出しないことからすれば、当該フットスツールの購入費用は、必要経費に該当しないことが事実上推定される。
そうすると、本件3段チェスト及び本件TELベンチの購入金額の合計90,910円(税込価額100,001円)(上記Aの(D))は、本件事業と直接関連を持ち、本件事業の遂行上必要なものであると認められるから、請求人が主張する金額のうち100,001円を、令和3年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(ニ) 本件意見交換会の会費について
A 認定事実
(A) 請求人は、平成31年1月24日、■■■■主催の本件講演会等のうち本件意見交換会に出席した費用として、別表5-1の「区分」欄の「E」(同表の順号37)の金額を令和元年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
本件講演会等は、午後3時30分から午後5時までのジャーナリストによる講演会、午後5時10分から午後5時50分までの■■■■の統括国税調査官による「平成30年分所得税確定申告について」と題する説明会及び午後6時からの当該説明会担当者を含む複数の税務署幹部も出席する意見交換会の3部から構成されていた。講演会及び説明会には会費を支払う必要はないのに対し、本件意見交換会には会費として5,000円を支払う必要があった。
(B) 請求人は、当審判所に対し、発行者を■■■■とする領収証の写しを提出し、この写しには、平成31年1月24日に5,000円を領収した旨が記載されている。
B 検討及び原処分庁の主張について
請求人は、本件意見交換会に参加し、その会費として5,000円を支払ったところ、本件意見交換会の会費は必要経費に算入することができる旨主張する。
上記Aの(A)のとおり、本件講演会等は■■■■が主催したものであり、開催された説明会は、確定申告の直前の時期に、税理士業務の一つである税務書類の作成等に関して税務署職員から説明を受けるというものであるから、税理士業務に直接関連するということができる。
そして、本件意見交換会はそのような税理士業務に直接関連する説明会の直後に行われ、本件講演会等で説明会を担当した税務署の幹部も出席していたことからすると、説明会での内容に関する意見交換を行うことも想定されるものであって、説明会と一体性を有することは否定できない。また、金額が5,000円と社会通念上相当な範囲であることからしても、本件意見交換会の費用が、客観的にみて本件事業と直接関連を持たないとも、本件事業の遂行上必要でないとも認められない。
これに対して、原処分庁は、請求人の本件意見交換会への出席の有無を争うのみであり、上記Aによれば、請求人が本件意見交換会に出席したことが認められる。
以上によれば、本件意見交換会の会費5,000円については、令和元年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(ト) 本件祝い金について
A 認定事実
(A) 請求人は、令和元年11月、■■■■から、■■■■の会長である■■■■の■■■■受章を祝う会の招待を受け、令和2年1月6日、同会に出席する際、本件祝い金を持参したとして、別表5-2の「区分」欄の「F」の各支出のうち同表の順号3の金額を令和2年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入した。
(B) ■■■■は、少なくとも令和元年5月30日から令和5年5月29日までの取締役を、また、少なくとも令和元年7月4日から令和5年7月16日まで■■■■(以下「■■■■」という。)の代表取締役を、それぞれ務めていた。
(C) 請求人は、■■■■との間で、平成30年5月22日付で、■■■■が出資した法人の経営状況に関してアドバイザーとして請求人が専門的な業務を行う旨の契約を締結し、本件元帳の税理士売上には、■■■■からの売上げが計上されている。
B 検討及び原処分庁の主張について
上記Aの(B)及び(C)のとおり、■■■■は請求人の顧客である■■■■の代表取締役を務めており、本件祝い金は、■■■■の■■■■の受章祝いとして支出したものであると認められ、その金額が30,000円と社会通念上相当な範囲であることからしても、本件祝い金の支出は、客観的にみて本件事業と直接関連を持ち、かつ、本件事業の遂行上必要であるといえる。
これに対して、原処分庁は、請求人と■■■■の関係性が不明である旨などを主張するのみであり、本件事業との直接関連性が認められないことについての立証を果たしているとはいえない。
したがって、本件祝い金は、客観的にみて本件事業と直接関連を持ち、かつ、本件事業の遂行上必要なものであると認められるから、本件祝い金30,000円については、令和2年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(チ) その他の接待交際費について
A 贈答品(本件元帳の摘要欄に「贈答品」及び「中元」と記載されているもの。別表5-1から5-3までの「区分」欄の「G」を指す。)について
(A) 請求人が個別に主張する支出について
a 請求人は、別表5-2の順号60の支出について、顧客への贈答品のためのマスク購入にかかる費用であるとして、必要経費に算入することができる旨主張する。
確かに、当該支出について、本件元帳中の日付欄には令和2年4月30日との記載があり、摘要欄には「■■■■(贈答品・マスク)」との記載があるところ、同日付で■■■■が請求人宛に発行した領収証によれば、請求人が同人からマスクを代金20,000円で購入した事実があったと認められる。そして、請求人は、当該マスクを複数の顧客に贈答した旨主張していると解されるが、請求人の主張によっても、当該マスクを贈答した相手先は複数にわたり、個別の贈答にかかる金額は不明である上、贈答の相手先と本件事業との関連性についての説明やこの関連性を示す証拠は見当たらず、請求人において、マスクの購入費用が、本件事業と直接の関連を持ち、本件事業の遂行上必要であることについて相応の説明も証拠の提出もしていないという状況の下においては、当該費用は必要経費に該当しないものと事実上推定される。
以上によれば、別表5-2の順号60の支出を、令和2年分の本件事業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
b 請求人は、別表5-2の順号91の支出について、顧問先会社の代表取締役である■■■便(以下「■■■■」という。)に対する贈答品の購入費用であるとして、必要経費に算入することができる旨主張する。
請求人提出資料及び原処分関係資料によれば、請求人が、平成28年12月12日、■■■■が代表取締役を務める■■■■との間で顧問契約を締結したこと及び同社は本件事業の売上先であることが認められる。また、贈答品の金額が10,780円と社会通念上相当な範囲であることをも併せ考慮すれば、別表5-2の順号91の支出は、客観的にみて本件事業と直接関連を持たないとも、本件事業の遂行上必要なものでないとも認められない。
他方、原処分庁は、同支出についての業務遂行上の必要性や、贈答をした事実が明らかでない旨主張するが、そのような必要性や贈答の事実がなかったことをうかがわせる事情を主張せず、証拠も提出しないのであるから、業務遂行上の必要性や贈答の事実がなかったと認めるには足りない。
以上によれば、別表5-2の順号91の支出は、令和2年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
c 請求人は、別表5-3の順号373の支出について、■■■■氏(以下「■■■■」という。)からの紹介により会社と顧問契約を締結したとして、■■■■への贈答品の購入費用は必要経費に算入することができる旨主張する。
請求人提出資料によれば、請求人が、令和6年4月23日、■■■■が代表取締役を務める■■■■(以下「■■■■」という。)との間で顧問契約を締結したことが認められる。しかしながら、本件元帳によっても、■■■■が、本件各年において、本件事業における売上先であったとは認められず、顧問契約の締結時期からしても、別表5-3の順号373の支出がされた令和3年において、■■■■と本件事業との関連性があったことに合理的な疑いがある状況にある上、本件元帳の摘要欄には、■■■■の氏名に続いて「贈答2名」との記載があり、借方金額欄に40,000円との記載があるが、請求人は、■■■■以外の1名が誰であるか、■■■■への贈答品の購入費用の金額がいくらであるかについて明らかにせず、請求人において、別表5-3の順号373の支出が本件事業と直接の関連を持ち、本件事業の遂行上必要であることに関し相応の説明や証拠の提出もしていないという状況の下においては、当該支出は必要経費に該当しないことが事実上推定される。
以上によれば、別表5-3の順号373の支出は、令和3年分の本件事業に係る事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
(B) 請求人が伝票に基づき主張する支出について
請求人は、贈答にかかる支出の一部について、宅配伝票の控え及び国際郵便伝票の控え(以下「宅配伝票等」という。)を提出し、贈答品を相手先に贈答した事実があったとして、贈答品の購入金額を必要経費に算入することができる旨主張するため、以下、検討する。
a 請求人が宅配伝票等を提出するもののうち、別表5-2の順号181及び260並びに別表5-3の順号133、134、187及び385の各支出については、日付、購入店舗名、品名等に照らし、本件元帳に記載のとおり購入された贈答品が、宅配伝票等に記載のとおりの相手先に送付されたと考えて矛盾しない。そして、本件元帳によれば、宅配伝票等に記載の相手先は、本件事業における売上先であると認められる。また、上記各支出の金額が、いずれも社会通念上相当な範囲であることからしても、上記各支出は、本件事業に直接関連を持たないとも、本件事業の遂行上必要でないとも認められない。
したがって、別表5-2の順号181及び260並びに別表5-3の順号133、134、187及び385の各支出は、令和2年分及び令和3年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
b 他方、請求人が宅配伝票等を提出し、必要経費に該当する旨主張する支出のうち、上記の各支出を除くものについては、請求人の主張を前提としても、本件元帳に記載のとおり購入された贈答品が複数の相手先に送付されたため個別の相手先に送付した贈答品の購入金額が不明であること、個別の相手先に送付した贈答品の購入金額が判明するものであっても当該相手先が本件事業の売上先であるか明らかでないこと又は金額が高額であることにより、必要経費に該当しないと事実上推定されてもやむを得ないというべきである。
したがって、請求人が宅配伝票等を提出し、必要経費に該当する旨主張する支出のうち、上記の各支出を除くものについては、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
(C) その他の支出について
贈答品の購入にかかる支出のうち、上記(A)及び(B)で検討した以外のものは、本件元帳に贈答の相手先が記載されておらず、又は相手先が記載されているものであっても、本件事業との関連性が不明であり、請求人は相手先に関する説明や証拠の提出をしない上、請求人が提出した「ご進物品購入申込票」を見ても、贈答の具体的な時期は明らかではないといった事情があることからすると、贈答品の購入にかかる支出のうち、上記(A)及び(B)で検討した以外のものは、必要経費に該当しないと事実上推定されてもやむを得ないというべきである。
B 餞別等(本件元帳の摘要欄に餞別、祝い金、香典等と記載されているもの。別表5-1から5-3までの「区分」欄の「F」(本件祝い金(別表5-2の順号3)は除く。)を指す。)について
(A) 請求人が個別に主張する支出について
請求人は、別表5-3の順号164の支出について、顧問先である■■■■(以下「■■■■」という。)の副館長に対して、転勤の際の餞別20,000円(以下「本件餞別」という。)を交付したとして、必要経費に算入することができる旨主張する。
請求人提出資料及び本件元帳によれば、請求人が、平成29年8月10日、■■■■との顧問契約を締結したこと及び■■■■は本件各年において本件事業に係る売上先であることが認められる。また、本件餞別の金額が20,000円と社会通念上相当な範囲であることをも併せ考慮すれば、本件餞別の支出は、客観的にみて本件事業と直接関連を持たないとも、本件事業の遂行上必要なものでないとも認められない。
これに対して、原処分庁は、本件餞別についての業務遂行上の必要性や、餞別をした事実が明らかでない旨主張するが、そのような必要性や餞別の事実がなかったことをうかがわせる事情を主張せず、証拠も提出しないのであるから、業務遂行上の必要性や餞別の事実がなかったと認めるには足りない。
したがって、本件餞別を、令和3年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
(B) その他の支出について
当審判所において、餞別等のうち、上記(A)以外の支出について検討した結果は、以下のとおりである。
a 本件元帳に、別表5-1の順号139のとおり、■■■■の代表者である■■■■に結婚祝いとして10,000円を交付した旨記載されているところ、本件元帳の記載から、同社は本件各年において本件事業に係る売上先であることが認められ、支出した金額は社会通念上相当な範囲であるといえる。そうすると、上記支出は、客観的にみて本件事業と直接関連を持たないとも、本件事業の遂行上必要なものでないとも認められない。
したがって、別表5-1の順号139の支出は、必要経費に該当しないとは認められず、令和元年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができる。
b 請求人は、本件調査において、本件調査担当職員の求めに応じ、本件元帳のうち、接待の相手方と本件事業との関連性を示すための証拠を提出したことが認められるものの、これらの証拠を精査しても、本件各年における餞別等の相手方と本件事業との関連性は明らかでなく、それ以外の説明や証拠の提出がされていないという状況の下では、餞別等のうち、別表5-3の順号164及び別表5-1の順号139以外の支出は、必要経費に該当しないことが事実上推定されてもやむを得ないというべきである(なお、請求人は、別表5-1の順号265に記載のとおり、■■■■の■■■■に対する結婚30周年祝の支出を餞別等として計上したところ、本件調査において、本件元帳のうち、平成28年に雑収入として同社に対する売掛金108,000円を計上したことを示す部分を提出したことが認められるが、その時期・内容や、■■■■と本件事業との関連性が説明されていないことに照らし、必要経費に該当しないことが事実上推定される。)。
したがって、餞別等のうち、別表5-3の順号164及び別表5-1の順号139以外の支出は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
C 上記A及びB以外の支出(別表5-1から5-3までの「区分」欄の「H」を指す。)について
その他の接待交際費のうち、上記A及びB以外の支出については、本件元帳に相手先が記載されておらず、又は相手先が記載されているものであっても、本件事業との関連性が不明であり、請求人は、本件調査において、本件事業との関連性について説明するよう求められていたのに、これに回答せず、本審査請求においても踏み込んだ説明をしなかったことから、必要経費に該当しないことが事実上推定される。
したがって、その他の接待交際費のうち、上記A及びB以外の支出については、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
ハ 本件会議費について
請求人は、上記3の(4)の「請求人」欄のハのとおり、本件会議費は、顧客等の関係先訪問の前後に飲食店等で打合せの準備やその続きを行うことを兼ねた取引先との飲食費等であるから必要経費に算入することができる旨主張する。
本件会議費について、本件元帳には、支払日、支払先、消費税率、相手勘定科目及び支払金額は記載されているが、会議の相手方、会議の内容・必要性についての記載は見当たらない。また、請求人は、本件調査において、本件会議費一覧表を手交され、会議の相手方や会議の内容・必要性等を明らかにするよう求められたのに、これに回答せず、本審査請求においても、これらを具体的に明らかにしなかったのであるから、本件会議費については、必要経費に該当しないと事実上推定されてもやむを得ないというべきである。
したがって、本件会議費は、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
二 本件給与賃金について
上記(3)のハのとおり、本件妹は、請求人と「生計を一にする」親族に該当する。したがって、本件給与賃金は、請求人と生計を一にする親族に対して、請求人の営む事業所得を生ずべき事業に従事したことにより当該事業から支払を受ける対価に該当することから、所得税法第56条の規定により、請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
なお、請求人は、青色申告者であるところ、青色事業専従者給与に関する届出書を提出していないから、所得税法第57条第1項の規定が適用されることもない。
ホ 本件地代家賃等について
(イ) 認定事実
原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
請求人は、本件各年分の地代家賃等の金額として、本件事務所に係る家賃等のほか、請求人の業務に従事する本件妹に用意した住居に係る費用として■■■■に係る賃料、管理費、家賃保証料及び基本保証料の一部を、地代家賃又は支払手数料として別表3の「請求人主張額」欄の各「地代家賃」欄及び「支払手数料」欄のとおり、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入している。
(ロ) 検討及び請求人の主張について
請求人は、上記3の(4)の「請求人」欄のホのとおり、本件地代家賃等は、■■■■から本件事業に従事するために来日した従業員である本件妹のために、事業主である請求人が住居を準備し費用を負担したものである旨主張する。
しかしながら、本件地代家賃等は、上記(イ)のとおり、請求人が居住する■■■■に係る家賃等の一部であり、■■■■を本件事業の用に供していることを示す資料等もないことから、■■■■に本件妹を住まわせており、本件妹が本件事業に従事していたとしても、本件地代家賃等は家事費に該当する。したがって、本件地代家賃等は、請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできない。
ヘ 小括
以上に基づき、当審判所において計算すると、本件各費用のうち本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき各金額は、それぞれ別表7-1の「審判所認定額」欄の「必要経費」欄のとおりとなる。
(5) 争点5(本件各取引費用は、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するか否か。)について
イ 法令解釈
消費税法第2条第1項第12号にいう課税仕入れとは、事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務 of の提供を受けることをいうところ、同法において仕入税額の控除が認められているのは、税負担の累積を防止するためであるから、課税仕入れに該当するのは、消費税額の課税標準である課税資産の譲渡等の対価の額(同法第28条《課税標準》第1項)、すなわち、事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(同法第2条第1項第8号)の対価の額を生じることとなる事業と関連するものでなければならないというべきである。このような仕入税額控除の趣旨等からすれば、必要経費(所得税法第37条第1項)に算入することができないものや、家事関連費のうち必要経費に算入することができないもの(同法第45条第1項第1号及び所得税法施行令第96条)は、課税仕入れに該当しない。
ロ 検討及び請求人の主張について
請求人は、上記3の(5)の「請求人」欄のとおり、本件各取引費用は、事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額に該当することと同様の理由から、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当する旨主張する。
上記(4)のとおり、本件各費用のうち、上記(4)のロの(ホ)、(へ)、(ト)、(チ)のAの(A)のb、同(B)のa、同Bの(A)及び同(B)のaは、本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されるから、消費税法上はいわゆる不課税取引に該当する上記(4)のロの(ト)(別表5-2の順号3)、同(チ)のBの(A)(別表5-3の順号164)及び同(B)のa(別表5-1の順号139)を除き、本件各課税期間の課税仕入れに該当する。
一方、上記(4)のとおり、本件各費用のうち上記以外のものは、いずれも本件各年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することができないから、上記イのとおり、そのうちの本件各取引費用も、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しないことになる。
また、請求人は、令和2年課税期間において、ゴルフ会員権の名義書換料275,000円を課税仕入れに係る支払対価の額に計上しているが、上記(4)のロの(ロ)のBのとおり、本件ゴルフプレー代等は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないから、本件ゴルフプレー代等に関連するゴルフ会員権の名義書換料についても、令和2年課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当しない。
以上に基づき、当審判所において計算すると、本件各取引費用のうち本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に該当するとすべき金額は、別表7-2の「審判所認定額」欄の「控除対象仕入税額」欄のとおりとなる。
(6) その他(本件ゴルフ大会に係る収入について)
イ 認定事実
原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
請求人の令和元年分の本件元帳には雑収入として、本件ゴルフ大会に係る収入金額150,000円が計上されており、本件各更正処分等においても、当該収入金額については、請求人の総収入金額から減額されていない。
ロ 検討
原処分庁は、原処分において、上記3の(4)の「原処分庁」欄のロの(イ)のとおり、本件ゴルフプレー代等は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないことを前提として、本件各年分の本件事業に係る事業所得の金額を算定しており、本件ゴルフ大会に係る支出についても、令和元年分の事業所得の金額の計算上必要経費への算入を認めていない。それにもかかわらず、上記イのとおり、請求人の令和元年分の本件元帳に雑収入として計上された本件ゴルフ大会に係る収入金額150,000円については、請求人の事業所得の金額の計算上総収入金額から減額されていない。
そして、上記(4)のロの(ハ)のBのとおり、本件事業の遂行上、本件ゴルフ大会を開催しなければならない必要性は認められず、本件ゴルフ大会に係る費用は請求人の事業所得の金額の計算上必要経費に算入することはできないのであるから、本件ゴルフ大会に係る収入金額も請求人の事業所得の金額の計算上総収入金額及び消費税等の課税標準額から減額するのが相当である。
ハ 小括
以上に基づき、当審判所において計算すると、請求人の令和元年分の事業所得に係る総収入金額は、別表7-1の「審判所認定額」欄の「総収入金額」欄のとおりとなり、請求人の令和元年課税期間の課税標準額は、別表7-2の「審判所認定額」欄の「課税標準額」欄のとおりとなる。
(7) 原処分の適法性について
イ 本件各更正処分について
(イ) 本件所得税等各更正処分
令和元年分の事業所得の総収入金額は、上記(6)のとおりであり、本件各年分 of の事業所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、上記(4)のとおりであるから、本件各年分の事業所得の金額は別表7-1の「審判所認定額」欄の「事業所得の金額」欄のとおりとなる。これらを前提に本件各年分の納付すべき所得税等の額を計算すると、いずれも本件所得税等各更正処分の金額を下回ることとなる。
したがって、本件所得税等各更正処分は、いずれもその一部を別紙1-1から別紙1-3までの「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
(ロ) 本件消費税等各更正処分
令和元年課税期間の課税標準額は、上記(6)のとおりであり、本件各課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額は、上記(5)のとおりである。これらを前提に本件各課税期間の納付すべき消費税等の額を計算すると、別表7-2の「審判所認定額」欄の「納付すべき消費税等の額」欄のとおりとなり、いずれも本件消費税等各更正処分の金額を下回ることとなる。
したがって、本件消費税等各更正処分は、いずれもその一部を別紙2-1から別紙2-3までの「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
ロ 本件各賦課決定処分について
(イ) 本件所得税等各賦課決定処分
本件所得税等各更正処分は、上記イの(イ)のとおり、いずれもその一部を取り消すべきであるところ、これらの処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、これらの処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条《過少申告加算税》第5項柱書及び同項第1号に規定する正当な理由があるとは認められない。これに基づき、本件各年分の所得税等の過少申告加算税の額を計算すると、いずれも原処分の額を下回ることとなる。
したがって、本件所得税等各賦課決定処分は、いずれもその一部を別紙1-1から別紙1-3までの「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
(ロ) 本件消費税等各賦課決定処分
本件消費税等各更正処分は、上記イの(ロ)のとおり、いずれもその一部を取り消すべきであるところ、これらの処分により納付すべき税額の計算の基礎となった事実が、これらの処分前の税額の計算の基礎とされていなかったことについて、通則法第65条第5項柱書及び同項第1号に規定する正当な理由があるとは認められない。これに基づき、本件各課税期間の消費税等の過少申告加算税の額を計算すると、令和元年課税期間及び令和3年課税期間の消費税等の過少申告加算税の額は、いずれも原処分の額を下回ることとなり、令和2年課税期間の消費税等の過少申告加算税の額は、原処分の額と同額となる。
したがって、令和元年課税期間及び令和3年課税期間の消費税等の過少申告加算税の各賦課決定処分は、その一部を別紙2-1及び別紙2-3の「取消額等計算書」のとおり取り消すべきである。
ハ その他
なお、原処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
(8) 結論
よって、審査請求には理由があるから、原処分の一部を取り消すこととし、主文のとおり裁決する。
別表1~7-2 (省略)
別紙1-1~4 (省略)
