国税不服審判所に情報公開請求をし、表題の裁決書を入手してみました。
事案の概要
原処分庁が、審査請求人について、所得税法第2条第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当するため、確定申告の義務があったとして、所得税等の決定処分等をしたのに対し、請求人が国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人には該当しないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案。
基本情報
・裁決番号:札裁(所・諸)令6第14号
・税目:所得税
・管轄:札幌国税不服審判所
・裁決日:令和7年2月25日
・結果:却下棄却
争点
請求人は、所得税法第2条第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に当たるか否か。
裁決書データ
裁決書テキスト
※以下は生成AIでテキスト化したものです。
主 文
1 平成31年1月1日から令和元年12月31日まで及び令和4年1月1日から令和4年12月31日までの各課税期間の消費税及び地方消費税の各更正処分に対する審査請求をいずれも却下する。
2 その他の原処分に対する審査請求をいずれも棄却する。
理 由
1 事実
(1) 事案の概要
本件は、原処分庁が、審査請求人(以下「請求人」という。)について、所得税法第2条《定義》第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当するため、確定申告の義務があったとして、所得税等の決定処分等をしたのに対し、請求人が国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人には該当しないなどとして、原処分の全部の取消しを求めた事案である。
(2) 関係法令等
イ 所得税法第2条第1項第3号は、居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう旨規定している。
ロ 所得税基本通達2-2《再入国した場合の居住期間》は、国内に居所を有していた者が国外に赴き再び入国した場合において、国外に赴いていた期間(以下「在外期間」という。)中、国内に、配偶者その他生計を一にする親族を残し、再入国後起居する予定の家屋若しくはホテルの一室等を保有し、又は生活用動産を預託している事実があるなど、明らかにその国外に赴いた目的が一時的なものであると認められるときは、当該在外期間中も引き続き国内に居所を有するものとして、所得税法第2条第1項第3号及び第4号の規定を適用する旨定めている。
ハ 所得税基本通達2-4《居住期間の計算の起算日》は、所得税法第2条第1項第3号に規定する「1年以上」の期間の計算の起算日は、入国の日の翌日となることに留意する旨定めている。
(3) 基礎事実
当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 請求人について
(イ) 請求人は、■■■■■■■■■■■■■■■■■(以下「■■■」という。)に加盟する■■■■■「■■■■■■■■■■」(以下「■■■■■■」という。)の■■を■■■■から務めていた。
(ロ) 請求人は、■■■■■■■■■■(以下「■■■■■」という。)の国籍を有し、日本国籍は有していない。
(ハ) 請求人は、平成29年12月28日に日本に入国した。
なお、請求人は、国内に配偶者及びその他の親族を帯同していない。
(ニ) 請求人は、平成30年1月7日に、■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■(以下「本件マンション」という。)に入居した。
請求人の平成30年1月7日から令和5年12月5日までの住民登録については、別表1のとおりである。
なお、請求人は、令和6年12月10日に出国し肩書地へ移転した。
(ホ) 請求人の出国記録については、別表2のとおりである。
なお、別表2のうち、順号4、同7及び同9から11までは、いずれも請求人が■■の■■■■(以下「■■■■」という。)が■■■■■に■■■■に出国したものであり(以下、当該出国を「本件各■■出国」という。)、それ以外は、一時的なものであることについて請求人及び原処分庁の双方に争いはない。
ロ ■■業務委託契約等について
(イ) 請求人は、■■■■■■■■■■(以下「本件法人」という。)との間で、本件法人が■■■■■■■■の■■業務を請求人に委託する契約(以下「本件■■契約」という。)を■■■■に締結した(以下、同日締結した本件■■契約を「本件平成30年契約」といい、他の年の本件■■契約についても同様に表記する。)。
(ロ) 本件平成30年契約に係る契約書(以下「本件平成30年契約書」といい、他の年の契約書についても同様に表記する。)には、要旨、次のとおり記載されている。
A 契約期間は、■■■■から■■■■までとする。
B 請求人は、本件法人の指定する全ての■■及び研修並びに■■■■■■■■、■■■■■等の指定する■■及び研修に参加する義務を負う。
C 本件法人は、上記Aの期間満了直後の1年間の本件■■契約について、請求人との■■■■を有するものとする。
D 本件法人は、本件■■契約を更新(上記Cの■■■■の行使を含む。)しようとする場合、■■■■までに、請求人との面談を行い、通知しなければならない。
E 本件法人は、請求人が本件平成30年契約書に定める、■■■■■■■■の■■たるに充分な能力の発揮を故意に怠った場合等の事実があった場合には、本件平成30年契約を直ちに解除することができる。
F 本件法人は、上記Eの場合のほか、契約期間中であっても本件法人の都合により本件平成30年契約を解除することができる。
G 本件法人は、請求人に対し、基本報酬として年額(■■分)■■■■■■(net)を支払う。
H 本件法人は、請求人に対し、本件法人が指定した住居と車2台を提供し、その費用は本件法人が負担する。
ただし、住居に付随する水道光熱費等の生活に要する諸経費及び車に付随するガソリン代等の維持費は請求人が負担する。
(ハ) 請求人は、平成31年から令和4年までの各年において、別表3の「契約締結日」欄に記載された日付で、本件平成31年契約、本件令和2年契約、本件令和3年契約及び本件令和4年契約を締結した。
(ニ) 本件平成31年契約書、本件令和2年契約書、本件令和3年契約書及び本件令和4年契約書(以下、これらの契約書を併せて「本件平成31年以降契約書」という。)には、おおむね、本件平成30年契約書と同様の記載がされており、それぞれの契約書における契約期間及び基本報酬(年額(■■分))は、別表3の「契約期間」欄及び「基本報酬(net)(年額(■■分))」欄のとおりである。
なお、本件平成30年契約書においては、上記(ロ)のDのとおり、本件■■契約を更新しようとする場合、本件法人は、■■■■までに、請求人との面談を行い、通知しなければならないとされていたところ、本件平成31年以降契約書においては、■■■■が■■■■の■■■■までに請求人との面談を行い、通知しなければならないと変更されている。
(ホ) ■■■■■■■■■■の平成19年から令和4年までの■■は、別表4のとおりである。
ハ 本件マンション等に係る事項について
(イ) 本件法人は、平成29年12月19日、■■■■■■■■■■との間で、契約期間を平成29年12月19日から令和元年12月18日までとし、入居者を請求人として本件マンションを賃借する旨の賃貸借契約を締結した。
(ロ) 本件マンションに係る電気の需給契約は、契約者氏名が「■■■■■■■■■■■■■■■」、請求先住所は本件法人の所在地、請求先氏名が「■■■■■■■■■」となっている。
(ハ) 本件マンションに係るガスの需給契約は、使用者氏名、請求先住所及び連絡先がそれぞれ本件法人の名称、所在地及び電話番号となっており、請求先氏名が「■■■■■■■■■■■■」となっている。
(ニ) 本件法人の固定資産減価償却内訳明細書には、要旨、別表5のとおり記載されている。
(4) 審査請求に至る経緯
イ 請求人は、平成31年1月1日から令和元年12月31日までの課税期間(以下「令和元年課税期間」といい、他の課税期間についても同様に表記する。)及び令和4年課税期間(以下、令和元年課税期間と併せて「本件各課税期間」という。)の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)について、各確定申告書に別表6の「確定申告」欄のとおり記載して、いずれも法定申告期限までに申告した。
ロ 請求人は、令和元年分から令和4年分まで(以下、これらを併せて「本件各年分」という。)の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」という。)について、いずれも確定申告書を提出していなかった。
なお、請求人は、恒久的施設を有しない非居住者であるとして、本件各年分につき支払を受けた国内源泉所得については、分離課税に係る税率を乗じて納付税額の計算がされている。
ハ 原処分庁は、原処分庁所属の調査担当職員の調査に基づき、請求人は、国内に引き続いて1年以上居所を有していることから、所得税法上の居住者に該当するとして、令和5年8月15日付で別表7の「決定処分等」欄のとおり、請求人の本件各年分の所得税等の各決定処分(以下「本件各決定処分」という。)及び無申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各賦課決定処分」といい、本件各決定処分と併せて「本件各決定処分等」という。)をした。
また、原処分庁は、令和5年8月15日付で別表6の「更正処分」欄のとおり、請求人の本件各課税期間の消費税等の各更正処分(以下「本件各更正処分」という。)をした。
ニ 請求人は、本件各決定処分等を不服として、令和5年11月10日に別表7の「再調査の請求」欄のとおり再調査の請求をしたところ、再調査審理庁は、令和6年1月26日付で別表7の「再調査決定」欄のとおり棄却の再調査決定をした。
なお、上記再調査決定の再調査決定書の謄本は、令和6年1月30日に送達された。
ホ 請求人は、再調査決定を経た後の本件各決定処分等に不服があるとして、令和6年2月29日に審査請求をするとともに、再調査の請求をしなかった本件各更正処分についても、同日に審査請求をした。
2 本件各更正処分に対する審査請求の適法性について
国税通則法(令和4年法律第4号による改正前のもの。以下「通則法」という。)第77条《不服申立期間》第1項本文は、不服申立ては、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合には、その受けた日)の翌日から起算して三月を経過したときは、することができない旨及び同項ただし書は、正当な理由があるときは、この限りでない旨規定している。
これを本件についてみると、原処分関係資料及び当審判所の調査の結果によれば、本件各更正処分に係る通知書が請求人に送達された日は、令和5年8月15であると認められるところ、請求人が当審判所に対し、審査請求書を提出した日は令和6年2月29日であることから、本件各更正処分に対する審査請求は、請求人が当該処分に係る通知を受けた日の翌日から起算して三月を経過した後にされたものと認められる。
また、請求人から当審判所に対し、不服申立期間内に審査請求書を提出できなかった理由について主張はないため、通則法第77条第1項ただし書に規定する正当な理由はな いものと認められることから、本件各更正処分に対する審査請求は不服申立期間を経過した後にされた不適法なものである。
3 争点
請求人は、所得税法第2条第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に当たるか否か。
4 争点についての主張
| 原処分庁 | 請求人 |
|---|---|
| 以下のとおり、本件各■■出国は、一時的なものであることが明らかであることから、請求人は、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当する。
(1) 本件マンション内の残留物 請求人は、出国する際、■■や生活用の小物などを本件マンションに置いたままである。また、請求人は、本件法人から貸与されていた家財道具を返還又は返還の申出をすることはなかった。 (2) 電気及びガスの需給契約 本件マンションにおいて、電気は平成30年1月3日から、ガスは平成29年12月25日から供給されている。これ以降、請求人は、電気及びガスを継続して使用しており、本件法人は、請求人が本件各■■出国している期間中もそれらの需給契約を解約することはなかった。 (3) みなし再入国の許可 請求人は、平成29年12月28日に日本に入国してから、令和5年1月6日までの間において、計11回日本を出国しているが、いずれも再入国予定である旨の意思表示をし、みなし再入国の許可を受けて出国しており、日本に入国後は本件マンションに居住している。 (4) 本件■■契約の更新 請求人は、毎年■■には本件■■契約が更新されることを承知している。 |
以下のとおり、本件各■■出国は、一時的なものであることが明らかであるとはいえないことから、請求人は、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当しない。
(1) 本件マンション内の残留物 請求人が購入した家財道具はなく、生活用の消耗品の残留状況について、実態が不明確だが、■■■に持ち帰らなければならない高価な物品はない。そのため、出国時に多少の消耗品を残留していても、単に不要物として残留していたにすぎない。 (2) 電気及びガスの需給契約 本件マンションの電気及びガスの需給契約の締結は本件法人が行っており、請求人は関知していない。本件マンションは、本件法人が賃借した物件であり、請求人が退去・一時滞在の都度、電気及びガスの需給契約を解約し、再契約をし直すのは煩雑である。 (3) みなし再入国の許可 請求人は、出国する際、みなし再入国の許可を取らなかった場合、再度入国するには就労ビザを再取得する必要があるため、再取得に1か月程度時間を要し、■■■■■■■■■■■■が遅くなることから、便宜上みなし再入国の申請をしたにすぎない。仮に再入国しなくとも、特段罰則は科せられないことや■■の契約交渉の可能性も含めて、みなし再入国の許可の申請を行っている。 (4) 本件■■契約の更新 毎年■■において、■■■■■の■■は確定しておらず、■■■の■■について確定的な判断はされていない。また、請求人は、毎年■■■■■■■■に■■■■へ出国しているが、出国後に本件■■契約の更新に係る交渉を行い、各年の■■■に本件■■契約を締結している。 |
5 当審判所の判断
(1) 法令解釈
イ 所得税法第5条《納税義務者》第1項は、居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある旨規定し、同法第2条第1項第3号は、居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいう旨規定しているところ、居所については、所得税法が、明文をもって、あるいはその趣旨から、民法第23条《居所》における居所の意義と異なる意義をもって使用していると解すべき特段の事由があるとは認められない。
したがって、所得税法上の居所の意義については、民法上使用されている居所の意義と同様に、人が多少の期間継続的に居住するが、その生活との関係の度合いが住所ほど密着ではない場所をいうものと解される。そして、所得税法第2条第1項第3号は、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有すると規定しているところ、当該者が一時的に日本国外に出国したことにより、現実に当該生活の場所で生活していた期間が継続して1年に満たないからといって、そのことのみをもって国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有することを否定するのは相当ではなく、飽くまでも一時的な目的で国外に出国することが明らかであるような場合においては、当該出国した期間についても、日本国内に居所を有するものと同視することができると解するのが相当である。
ロ 所得税基本通達2-2は、国内に居所を有していた者が国外に赴き再び入国した場合において、在外期間中、国内に、配偶者その他生計を一にする親族を残し、再入国後起居する予定の家屋若しくはホテルの一室等を保有し、又は生活用動産を預託している事実があるなど、明らかにその国外に赴いた目的が一時的なものであると認められるときは、当該在外期間中も引き続き国内に居所を有するものとして、所得税法第2条第1項第3号及び第4号の規定を適用する旨定めているところ、当該通達は、明らかにその国外に赴いた目的が一時的なものであると認められる場合を例示し、上記居住者の該当性についての判断要素を明確にしたものであり、その取扱いは当審判所においても相当と認められる。
ハ そうすると、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有するというためには、その間に在外期間が含まれる場合には、在外期間中も、国内に、それまで生計を共にしていた配偶者その他の親族を残し、再入国後生活する予定の居住場所を保有し、又は生活用動産を預託していて再入国後直ちに従前と同様の生活をすることができる状態にあるなどして、一時的な出国であることが明らかであることが必要であると解するのが相当である。
ニ 所得税基本通達2-4は、所得税法第2条第1項第3号に規定する「1年以上」の期間の計算の起算日は、入国の日の翌日となることに留意する旨定めているが、これは期間の計算の起算日を留意的に明らかにしたものであり、当審判所においても相当と認められる。
(2) 認定事実
請求人提出資料、原処分関係資料並びに当審判所の調査及び審理の結果によれば、以下の事実が認められる。
イ 本件マンションに係る賃貸借契約は、平成29年12月19日の締結以降、令和6年1月16日に解約されるまで自動更新されており、本件法人が引き続き本件マンションを賃借し、賃借料を支払っていた。
ロ 本件法人は、請求人が本件マンションに入居するに当たり、請求人に対して、別表5に掲げる家具や液晶テレビ等の家財道具を貸与していた。
また、本件マンションにおいて、請求人が使用する日用品は、請求人自身が購入していた。
ハ 本件マンション内には、請求人の在外期間中においても、請求人が■■■■■■■■■■■■■■■のほか日用品が残されており、請求人の出国に際し処分された事実は認められない。
ニ 本件マンションにおいて、電気は平成30年1月3日から、ガスは平成29年12月25日からそれぞれ供給されて以降、また、水道も供給開始以降、いずれの需給契約も請求人の出国に際し、解約されずに継続されていた。そして、請求人が、電気及びガスの使用料金をクレジットカード払いにより支払っており、請求人の出国の際に支払方法が変更された事実は認められない。
ホ 別表2の順号10を除く本件各■■出国については、事前に日本と■■■■■■■■■間の往復航空券が購入されている。
購入された再入国の航空券の搭乗日は、別表2のうち、順号4に係るものは平成31年1月10日、順号7に係るものは令和2年1月8日、順号9に係るものは令和3年1月9日、順号11に係るものは令和5年1月6日である。
なお、請求人は、■■■■滞在中の■■■■(現地時間)に■■■■■■■したため、別表2の順号9については、事前に購入した航空券の搭乗予定日に搭乗することができなかった。
ヘ 請求人は、別表2に掲げる各出国の際、いずれも一時的な出国であり、再入国予定である旨を再入国出国記録により意思表示して、入国審査官に提示し、みなし再入国の許可を受けていた。
なお、請求人は、日本に入国後は再び本件マンションに居住している。
ト 請求人は、■■■■が毎年■■■■から開催している■■■■■■■■に、平成31年は■■■■から■■■■まで、令和2年は■■■■から■■■■まで、令和4年は■■■■から■■■■までの各期間、参加している。
なお、令和3年の■■■■■■■■には、上記ホのとおり、請求人は、■■したことにより参加していない。
チ ■■■■■■■■(平成31年4月1日の社名変更前は、■■■■■■■■■■■■)が■■する■■■■■の■■■■■である「■■■■■■■■」には、平成30年から令和4年までのいずれも、■■■■から請求人が出国する日までに請求人に対して行われた■■■■■■■■■の中、請求人は、■■も■■を■■することを前提とした■■をした旨が■■されている。
リ ■■■■■■は、■■■■■■■■において、本件平成31年契約は■■■■■■■に、本件令和2年契約は■■■■■■■に、本件令和3年契約は■■■■■■■に、本件令和4年契約は■■■■■■■に請求人と■■した旨を■■している。
(3) 本件法人関係者の答述等
イ 本件法人の■■■■■■■■■(以下「■■■」という。)は、当審判所に対し、本件■■契約の更新の通知について、契約書に定める上記1(3)のロの(ロ)のD及び同(ニ)の通知期限にこだわらない旨を請求人に伝え、同意を得ていたので、契約書上の通知期限までに通知していない旨を答述した。
ロ 請求人が当審判所に対して提出した、令和6年10月3日付の本件法人の■■■■(以下「■■■■■」という。)による陳述書には、本件法人は、請求人の■■■■等に係る総括を■■■■■■■■に行うため、総括前に請求人に対し本件■■契約の更新を伝えることはない旨の記載がされているが、請求人は、具体的な総括の内容及び総括状況を示す資料はないとし、また、総括に当たって利用される資料はあるものの、開示はできないとして、当審判所に対して提示しなかった。
(4) 検討
請求人が、国内に住所を有する者に該当しないことについては、請求人及び原処分庁の双方に争いがなく、当審判所の調査によってもその事実が認められるから、請求人は、所得税法第2条第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に当たるか否か、本件においては、上記1(3)のイの(ハ)のとおり、請求人は、国内に配偶者及びその他の親族を帯同していないことから、請求人が出国していた在外期間中も、国内に、再入国後生活する予定の居住場所を保有し、又は生活用動産を預託していて再入国後直ちに従前と同様の生活をすることができる状態にあるなどして、本件各■■出国が一時的な出国であることが明らかであるかについて、以下検討する。
イ 本件法人は、上記1(3)のハの(イ)のとおり、請求人が■■■■■■■の■■に就任する時期に合わせて請求人を入居者として本件マンションを賃借しており、本件マンションは、請求人が国内における居宅として使用するために賃借されたものであり、請求人が国内において居住する場所であったと認められる。そして、上記(2)のイのとおり、本件法人は、平成29年12月19日から本件マンションに係る賃貸借契約が解約される令和6年1月16日までの間、請求人の在外期間中を含め、本件マンションを引き続き賃借し、賃借料を支払っていた。
また、上記(2)のロのとおり、本件法人は、請求人が本件マンションを居宅として使用するに当たり、請求人に対して、別表5に掲げる家具や液晶テレビ等の家財道具を貸与し、請求人の在外期間中においてもこれらの家財道具が本件マンションに設置されたままの状態であったと認められる。さらに、上記1(3)のハの(ロ)、同(ハ)及び上記(2)のニのとおり、本件法人は、本件マンションに係る電気、ガス及び水道の需給に係る契約者又は使用者であるが、請求人の出国の際し、これらの需給契約を解約することはなかったと認められ、また、電気及びガスの使用料金は、請求人がクレジットカード払いにより支払っており、これらの支払方法も、請求人の出国の際に、変更されることはなかったと認められる。
そして、上記(2)のハのとおり、本件マンション内には、請求人の在外期間中においても、請求人が■■■■■■や日用品が残されたままであり、請求人が出国する際に処分されていなかったと認められる。
以上のとおり、本件マンションは、請求人が国内において居住する場所であったところ、請求人の在外期間中においても、本件法人との賃貸借契約並びに電気、ガス及び水道の需給契約のいずれも解約することなく継続され、請求人が電気及びガスの使用料を継続して支払い、さらに、家財道具や日用品なども出国時のまま本件マンション内に残されているなど、本件マンションは、請求人が再入国後直ちに出国前と同様の生活をすることができる状態に保たれていたと認められる。
ロ つぎに、本件■■契約の更新の状況、具体的には本件各■■出国前に本件■■契約の更新に係る合意がどの程度進んでいたかについて争いがあることから、その点について検討する。
(イ) 上記(2)のホのとおり、別表2の順号4、同7、同9及び同11は、本件各■■出国の前に日本と■■■■■間の往復航空券が購入されており、請求人が、■■により事前に購入していた航空券の搭乗予定日に搭乗することができなかった同表の順号9を除き、購入された再入国時の航空券の搭乗日を変更せずに再入国していることからすると、往復航空券が購入された時点で、既に再入国する日が決まっていたものと認められる。また、上記(2)のヘのとおり、請求人は、みなし再入国の許可を受けて■■■■へ出国しており、入国審査官に対し、いずれも一時的な出国であり再入国する予定であるとして、再入国の意思を表明したと認められる。
(ロ) 上記1(3)のロの(ロ)のA、同D、同(ニ)及び別表3のとおり、本件平成30年契約書及び本件平成31年以降契約書によると、契約期間はいずれの年も■■■■から■■■■までとされており、契約を更新しようとする場合、本件平成30年契約書においては■■■■までに、本件平成31年以降契約書においては■■■■が■■■■の■■■■までに、本件法人が請求人との面談を行い、その旨を通知しなければならないとされている。これに対し■■■は、上記(3)のイのとおり、本件■■契約の更新の通知をその通知期限までに通知していなかった旨を答述している。しかしながら、上記(2)のチのとおり、「■■■■■■■■」には、請求人の出国前に行われた■■■■■の中、請求人が■■も■■を■■することを前提とした■■をした旨が■■されている。また、同リのとおり、■■■■■■は、■■■■■■■■において、各年の■■■■から■■■■までの間に本件■■契約の■■を■■している。
そして、本件■■契約においては、■■■■■■■■の■■が契約の更新を決める際の考慮要素になるものと考えられるところ、別表4のとおり、請求人の就任以降、■■■■■■■■■■■■■■■ことに加え、別表3のとおり、請求人の基本報酬が本件令和2年契約で増額され、その後維持されていることも考慮すれば、本件法人が請求人との契約を更新しない理由があったとは認め難い。
また、請求人は、上記(3)のロのとおり、■■■■■■■に請求人の■■■■等に係る総括が行われ、総括前に請求人に対し本件■■契約の更新を伝えることはない旨が記載された■■■■■の陳述書を提出しているが、総括や本件■■契約の更新の通知などが行われた時期が具体的に明らかでなく、また、当該陳述書の内容を裏付ける客観的な証拠の提示はないため、■■■■■の陳述書の内容が事実であるかは不明である。
これらを考慮すると、本件■■契約の更新の通知が当該契約の定める期間内にされていたかは不明であるものの、請求人の出国時において、請求人の本件法人との間で、本件■■契約の更新の合意がある程度具体化していたと認められる。
(ハ) したがって、上記(イ)及び(ロ)のとおり、請求人は、再入国するための航空券を出国前に手配するなどした上で、本件■■契約の更新の合意がある程度具体化している状況において出国していることからすると、本件各■■出国は、再入国が予定されているものであったと認められる。
ハ 以上より、本件マンションについては、請求人の在外期間中においても、請求人が再入国後直ちに出国時と同様の生活をすることができる状態に保たれていたと認められ、本件各■■出国は、再入国が予定されているものであったと認められることからすると、かかる出国が一時的なものであることは明らかというべきである。
したがって、請求人は、継続的に本件マンションを居住場所としており、同所をもって現在まで引き続いて1年以上居所を有すると認められることから、請求人は、日本に入国した日の翌日から起算して1年を経過する日の翌日に当たる平成30年12月29日以後、所得税法第2条第1項第3号に規定する国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当する。
(5) 請求人の主張について
請求人は、上記4の「請求人」欄の(1)及び(2)のとおり、請求人が購入した家財道具はなく、単に不要物を残留していたにすぎず、電気及びガスの需給契約は本件法人が行っており、請求人は関知していない旨主張する。
しかしながら、請求人は、上記(2)のハのとおり、請求人が出国した後においても、本件マンション内に日用品を残したままにしていることから、本件マンションが引き払われたとは認められず、また、上記(2)のニのとおり、本件法人は、本件マンションにおける電気、ガス及び水道の需給契約を解約せずに継続しており、このことに請求人が関知していないとしても、請求人が再入国後直ちに出国時と同様の生活をすることができる状態に保たれていたのであるから、請求人の主張には理由がない。
また、請求人は、上記4の「請求人」欄の(3)及び(4)のとおり、本件各■■出国の際にみなし再入国の申請をしたのは、請求人がみなし再入国の許可を取らなかった場合、就労ビザを再取得する必要があるため、再取得に1か月程度時間を要し、■■■■■■■■■■■■が遅くなることから、便宜上みなし再入国の申請をしたにすぎない旨、及び請求人は、各年の■■■■に本件■■契約を締結している旨主張する。
確かに、上記1(3)のロの(イ)及び(ハ)のとおり、各年の■■■■に本件■■契約を締結している。
しかしながら、出国の際に再入国しないことが明らかであれば、みなし再入国の意思表示はしないものと認められる上、上記(2)のトのとおり、請求人は、本件契約の締結日よりも前に再入国し、■■■■■■■■が開催する■■■■■■■■に参加していることからしても、上記(4)のハのとおり、本件各■■出国が一時的なものであることは明らかであると認められることから、請求人の主張には理由がない。
(6) 本件各決定処分等の適法性について
イ 本件各決定処分の適法性について
(イ) 令和元年分から令和3年分まで
上記(4)のハのとおり、請求人は、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当すると認められ、所得税法上の居住者となる。
これに基づき、当審判所において、令和元年分から令和3年分までの所得税等の納付すべき税額を計算すると、いずれも別表7の「決定処分等」欄の額と同額となる。
なお、令和元年分から令和3年分までの所得税等の各決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
したがって、令和元年分から令和3年分までの所得税等の各決定処分はいずれも適法である。
(ロ) 令和4年分
上記(4)のハのとおり、請求人は、国内に現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人に該当すると認められ、所得税法上の居住者となる。
そして、当審判所において、令和4年分の所得税の社会保険料控除の額を計算したところ、■■■■■■となり、これに基づき令和4年分の所得税等の納付すべき税額を計算すると、別表8の「審判所認定額」欄のとおりであり、その額は同表の「決定処分等」欄の額を上回る。
なお、令和4年分の所得税等の決定処分のその他の部分については、請求人は争わず、当審判所に提出された証拠資料等によっても、これを不相当とする理由は認められない。
したがって、令和4年分の所得税等の決定処分は適法である。
ロ 本件各賦課決定処分の適法性について
上記イのとおり、本件各決定処分はいずれも適法であり、また、期限内申告書の提出がなかったことについて、通則法第66条第1項ただし書に規定する「正当な理由がある旨と認められる場合」に該当するとは認められない。そして、当審判所において、本件各年分の所得税等に係る無申告加算税の額を計算すると、いずれも本件各賦課決定処分の額と同額となる。
したがって、本件各賦課決定処分はいずれも適法である。
(7) 結論
よって、本審査請求のうち、本件各更正処分に対する審査請求は不適法であるから、いずれも却下し、その他の審査請求は理由がないから、いずれも棄却することとし、主文のとおり裁決する。
別表1~8 (省略)
別表2 請求人の出国記録(省略)
別表3 契約締結日等(省略)
別表4 (省略)
別表5 固定資産減価償却内訳明細書(省略)
別表6 審査請求に至る経緯(消費税等)(省略)
別表7 審査請求に至る経緯(所得税等)(省略)
別表8 令和4年分の所得税等の納付すべき税額等(審判所認定額)(省略)
