国税不服審判所に情報公開請求をし、表題の裁決書を入手してみました。
裁決要旨
請求人は、国外に有する住居に年間250日以上滞在しており、国外に生活の本拠があることから、所得税法第2条《定義》第1項第3号に規定する居住者に該当しない旨主張する。しかしながら、居住者該当の判断は、国内に住所を有するか否かによるが、ここにいう住所とは生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであって、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かにより決すべきであるところ、請求人は、国内よりも国外における滞在期間が長いものの、国内の肩書住所地を住民票上の住所として定めていること、当該住所地所在の居宅(本件居宅)を所有し、国内滞在中は本件居宅において起居していたこと、金融資産の大部分は国内の金融機関に保有している一方、国外資産はほとんど有していないこと、当該住所地を自己の住所として国民健康保険に加入していること、請求人と生計を一にする妻は国外に出国しておらず本件居宅に居住していたことなどの事情を総合的に考察すれば、客観的に生活の本拠たる実体を有していたのは本件居宅であると認めるのが相当である。したがって、請求人の生活の本拠すなわち住所は国内の肩書住所地であり、請求人は所得税法上の居住者に該当する。
基本情報
・裁決番号:大裁(所)平28第36号
・税目:所得税
・管轄:大阪国税不服審判所
・裁決日:平成29年1月23日
・結果:棄却
争点
・請求人が所得税法上の居住者に該当するか否か