個人の税務調査の開始から終了までの期間については、私の経験からすると約1~3ヶ月程度になることが多いです。もし、調査が長引いている場合、あるタイミングで調査終了に向けての交渉をすればまとまる可能性が高くなります。そのタイミングについて、元国税調査官である税理士が解説します。
交渉がまとまりやすい時期は確定申告前と人事異動前
個人の税務調査を担当している個人課税部門の職員は、1年間ずっと調査だけしているわけではなく、通常2月から3月までの間(コロナ禍は期間が長くなると思います。)は確定申告の事務に従事します。この時期は、基本的に確定申告の事務に係りっきりになり、調査をすることは難しくなります。なので、もし確定申告の前に調査の事案を持っている場合、調査を長引びかせないように(調査の長期化は納税者・税務署双方にとってメリットがありません)、上司から確定申告の前までに持っている事案を一旦すべて終了させるよう指示されることが多いです。
また、国税組織の人事異動は毎年7月10日前後に行われるのですが、この前に調査の事案を持っている場合についても、当初計画した調査の実施件数を達成するために、上司からなるべく異動前までに事案を終わらせるように指示されることが多いです。
税務署にはこのような事情がありますので、「確定申告前」と「人事異動前」に、修正申告をする代わりにここを認めてほしいといった交渉をすれば、それ以外の時期であればまとめるのが難しい交渉もまとまる可能性が高くなります。
もちろん、税務署も高額・悪質な納税者に対しては妥協することはないので、このことはすべての場合に当てはまるわけではないのですが、交渉を有利に進めたいのであれば上記のことは知っておきたいところです。